フランス料理と焼肉の“いいとこ取り”をして、これまでになかった業態を確立している「シェ・スギノ」。オーナーシェフは元ホテルグランドパレス総料理長の杉野山之介さん。23席ほどの小さな店だが、焼肉では黒毛和牛や岩手産熟成短角牛といった高級肉が食べられる上、カサゴやホウボウといった鮮魚をフレンチの技法で仕上げた香草焼きなども置いている。気軽に利用しやすいリーズナブルな価格帯も人気を後押ししている。

同店のランチの売れ筋1位は、豪州産牛ヒレ肉を香ばしく焼き上げた「特選牛フィレステーキ丼 クルミ入り」(1200円・税込み)だが、このステーキを焼くときに牛肉のうま味アップに使う名脇役が、岩手県産熟成短角牛を仕込む際に取れる牛脂だ。

「オーストラリアでは牧草を食べさせて牛を育てています。穀物を食べさせて育った和牛などに比べると、少し物足りないと感じてしまうんですね。そこで肉を焼くときの油代わりに、短角牛の牛脂を敷いてうま味を重ねているんです」と杉野シェフは理由を語る。

ステーキを焼き上げた後は残った牛脂に醤油などを加えてタレを作るが、短角牛と牛ヒレ肉のうま味を重ねることでクセになる味が生まれるのだ。

●店舗情報
「シェ・スギノ」
所在地=千葉県市川市南八幡3-8-13 シャトーデザールクボタ104

◇外食レストラン新聞の2019年4月1日号の記事を転載しました。