ボンジョルノ!イタリア在住フードライターの鈴木奈保子です。今回はお子さまのおやつにもぴったりな、リンゴをたっぷり使ったイタリア風のアップルパイ「ストルゥーデル」の簡単レシピをご紹介します。イタリアでは春になるとリンゴもすっかり熟していてやわらかいので、あらかじめリンゴを煮てジャム状にしなくても、直接パイ生地で包んで焼くことができます。

春巻きの皮のような生地だから簡単に作れる

アップルパイというと、パイ生地を作るのが難しいのでは? と思われるかもしれません。今は冷凍のパイシートがあるので、もちろんそれを利用していただいて構いません。ただ、このストルゥーデルは、アメリカのアップルパイと違って、どちらかというと春巻きのようなパイです。

オリジナルのレシピでは、まさしく春巻きの皮みたいな生地なので簡単に手作りできますから、春巻きの皮で代用することもできそうです。

【材料】
小麦粉 130g
卵 1個
水 30g
溶かしバター 大さじ1

【作り方】

  1. ボウルに小麦粉を入れて、すべての材料を少しずつ加えて混ぜていき、よくこねて一つにまとめる。
  2. 冷蔵庫で約20分休ませる。

たったこれだけ。あとは薄く伸ばしていくだけです。

リンゴたっぷりの簡単デザート!ストルゥーデルのレシピ

生地の準備ができたので、さっそくリンゴパイを作ってみましょう。本場イタリアのレシピでは、レネッテかゴールデンを使いますが、お手元にあるリンゴで大丈夫です。ちなみに、イタリアでも日本のリンゴ、フジが手に入ります。今回はフジを使って作りました。

【材料】
リンゴ 800g
松の実 40g
干しレーズン 80g
砂糖 80g
パン粉(目が細かいもの) 80g
シナモン 小さじ1
アンズジャム 少々
溶かしバター 適量
粉砂糖 少々

【作り方】

  1. 干しレーズンをぬるま湯に入れて戻しておく。
  2. リンゴの皮をむいてから4等分にして芯を取り、薄いいちょう切りにする。色が変わらないようにレモン汁(分量外)を適量かけ、無農薬レモンなら皮もすりおろすといい。
  3. 松の実をフライパンでさっとあぶって、リンゴと干しレーズン、砂糖、シナモン、パン粉を混ぜ合わせる。
  4. 準備した生地を長方形型に薄く伸ばして(約40cm×50cm)、表面にアンズジャムを薄く伸ばす。その上にリンゴをのせて、皮でぐるりと細長く包む。端は指できっちり押さえて留める。
  5. 表面に少し切り目をナイフで入れてから、溶かしバターを塗って、180度のオーブンで30分焼いたら出来上がり。

このデザートは、生地を薄く伸ばすのがポイントです。もし、穴が開いてしまっても、指でとじ合わせてくっつければいいだけなので、心配せずに伸ばしてください。薄く伸ばせたら、クルクル重ねて中身を巻けるので、少しくらい穴があっても大丈夫です。

温かくても、冷めてからもおいしく食べられる簡単なリンゴのレシピです。かなりの分量ですが、食べられない分は冷凍することもできるので便利です。食べるときは自然解凍で。上から粉砂糖をたっぷりふってお召し上がりください。

もともとトルコのスイーツだった簡単リンゴデザート

今回ご紹介したイタリア風アップルパイ、ストルゥーデルは、日本ではウィーンの「シュトゥルーデル」といったほうが有名かもしれません。名前もよく似ていますが、薄い生地でリンゴや干しブドウなどの具をたっぷリ巻き込んだ焼いたスイーツというところも、ほぼ同じです。

それもそのはず、ストルゥーデルは北イタリアにあるトレンティーノ地方の名物料理。イタリアと言ってもアルプス山脈に接していて、イタリア語のほかドイツ語も公用語として通用しているトレンティーノ地方は、歴史的にもオーストリア領だった時代があるのです。

ところが、このストルゥーデル、意外にもルーツはトルコにあるそうです。その昔、オスマントルコ帝国がハンガリーを征服した時に、ヨーロッパへ渡ったアラブのデザートなのです。そしてハンガリーがオーストリアに併合されたときにオーストリアへ伝わり、北イタリアでもすっかり定着したというのです。昔からおいしくて簡単なレシピは、どんどん世界中に広まっていくのですね。