ヨーグルトの食べ方はそのまま、あるいははちみつやジャムをかけたりフルーツを添えたりということが多かったと思いますが、毎日食べるなら、別のバリエーションも覚えておきたいもの。そこで、ヨーグルトを加熱して、料理にも使ってみましょう。今回は、クリームシチューをアレンジした「ブルガリアン・シチュー」(私が名付けた名称です!)をご紹介したいと思います。

牛乳の代わりにヨーグルトを使って「ブルガリアン・シチュー」と命名

以前、クリームシチューを作っていて、「材料の牛乳をヨーグルトにしてみたらどうだろう?」と思い、試してみたことがあります。

やってみると酸味が具材にマッチして、ご飯にも合うシチューができました。こういう料理がすでにあるのか、ネットで調べてみましたが、見つけることができませんでした。

そこで私は、一応自分のオリジナル料理と考え、「ブルガリアン・シチュー」と勝手に命名しました。ブルガリアの人には、「わが国にはそんな料理はない!」と怒られてしまうかもしれません。スパゲティナポリタンや長崎のトルコライスのように、日本生まれの料理なのに勝手に外国の地名をつけるのは日本人の悪い癖ですね(笑)。

【材料(2人前)】
豚薄切り肉 200g
玉ねぎ 中1/2個
しいたけ 2枚
塩 小さじ1/2
こしょう 少々
油 大さじ1
小麦粉 大さじ2
プレーンヨーグルト 1カップ(加糖ではなくプレーンを使ってください)
バター 1片

【作り方】
1.豚薄切り肉は一口大に切る。玉ねぎ、しいたけは薄切りにする。
2.中火で熱したフライパンに油をひき、(1)を炒める。

3.(2)に油が回ったら小麦粉を振る。

4.(3)の小麦粉が透き通ったらヨーグルト、塩、こしょうを加え、沸騰し、材料に火が通るまで煮込む。
5.(4)にバターを1片加え、香りが立ったら完成。

ご飯にかけてもおいしいです。また、小麦粉を使わないとシチューがサラッとしますが、それもまたおいしいです。こちらのほうが簡単ですので、好みでそちらもお試しください。

加熱しても健康効果は失われない?

将来の骨粗鬆症発症を予防するためにも、カルシウムの積極的な補給は大切です。カルシウムを含む食品は小魚や野菜などいろいろとありますが、吸収がよく、たっぷりと補給できる補給源としては、やはり何と言っても牛乳・乳製品でしょう。

ごく一部の人が学校給食で牛乳を出すことに「牛乳はご飯や和食には合わない」「給食に牛乳を出すのは和食文化の破壊」といった主張をしていますが、日本栄養士会では、牛乳・乳製品と和食の相性は良いとして、和食のレシピの中に牛乳・乳製品を加えた「乳和食」というものを提案しています。

例えば味噌汁の味噌の量を減らして牛乳を加え、減塩でもまろやかでおいしくする工夫などが紹介されています。提唱者の小山浩子さんと、日本栄養士会の元会長の中村丁次さんによる『目からウロコのおいしい減塩 乳和食」(主婦の友社)という本には、ユニークな乳和食のレシピがたくさん公開されています。興味のある方はぜひ手にとってみてください。

ヨーグルトは発酵によって生まれた、優れた乳製品です。牛乳由来のカルシウムだけでなく、乳酸菌が腸内環境を改善することで、免疫力を高めるなどさまざまな健康効果が期待されています。

なお、それらを期待するなら乳酸菌を大腸まで生きたまま届かせなければならないから、加熱などもってのほか、と考える方も多いと思いますが、発酵学の専門家たちは、死菌、殺菌乳酸菌の菌体も生きた乳酸菌と同じ効果が大腸内で期待できるとしています。

詳しくは腸内細菌研究の世界的権威である光岡知足(みつおか・ともたり)さんのインタビューページをご覧ください

「生きた菌が腸まで届くから健康になれるわけではないんです」(光岡知足インタビュー②) – Bio&Anthropos〜知をたずさえ、生命の海へ

以前、私が編集を務めていた月刊誌「食生活」で、プロバイオティクス(乳酸菌などの善玉菌、あるいはそれを含む食品)の特集を企画していたとき、死菌、殺菌乳酸菌でも問題はないという学者さんたちの記述を読んだのが、この料理「ブルガリアン・シチュー」を作ってみる動機になりました。ご飯によく合う料理です。麦飯にも合います。ぜひお試しください。