看板メニューが店の売上げを伸ばすのは当たり前。それだけではなく、これまでやってきた“飲食店”という業態を変えるほどの影響力を発揮するのが、“スーパー看板メニュー”だ。「JAZZ BAR&CAFE ROMAN」のメニューには、そんなパワーがある。

豚カツ、卵焼き、カレーを組み合わせる

同店の基本メニューは「煮かつサンド(ロースまたはヒレ)」と「ふわふわ玉子サンド」の二つ。「煮かつサンド」とは、揚げたカツを醤油ベースの秘伝のタレに浸し、ひと煮立ちさせて、パンに挟んだもの。ソースをかけずに、タレで煮るのが同店のオリジナリティーだ。

「煮かつサンド」。スライス肉をミルフィーユ状に重ねることで軟らかな食感とジューシーさを出す

「ふわふわ玉子サンド」は、ブランド卵を絶妙の火加減でふわふわに焼き上げて、パンに挟んだもの。

「ふわふわ玉子サンド」。卵本来の味を出すために、あえて味付けをしない

そして、この「煮かつ」と「ふわふわ玉子」を融合させて誕生したのが「煮かつ&ふわふわ玉子カレー」。豚カツ、卵焼き、カレーという日本人の“三大好物”ともいえるものを組み合わせた、渾身の“トリプル合わせ技”だ。

通販へと販路を拡大

「得意なものに特化して料理の完成度を高める……このやり方が、いろいろ手を広げるよりも、自分には向いていると思いました。食材も手持ちのものでまかなえるので、新しく調達する必要がありません」と語るのは高木慎二オーナー。

と、ここまでは、これまでにもある話。同店のメニューは、ここからさらに発展する。「今は店にいてお客さんを待っている時代ではない」と、高木オーナーはプロモーションに乗り出した。大手百貨店に煮かつとふわふわ玉子サンドを売り込み、催事に出品。また、全国に販路を広げるために冷凍保存を計画し、国の補助金を獲得して業務用急速冷却機を購入。その結果、大手通販サイトでの販売が可能になった。

煮かつとふわふわ玉子のサンドのパッケージ。「ジャズバーという特色を出して、ブランディングするのが狙いです」と高木オーナー

現在は、煮かつとふわふわ玉子のサンド、カレーの三大アイテムを組み合わせたメニューが、テイクアウトや通販の他にも、百貨店、駅ナカ、社食、コンサートツアーのスタッフ食、パチンコの景品などで採用され、店の売上げを飛躍させた。

看板メニューを極めることの重要性を教えてくれるメニューだ。

●店舗情報
「JAZZ BAR&CAFE ROMAN」
所在地=東京都八王子市横山町10-15 ROMANビル1階
開業=1957年
坪数・席数=15坪・15席
営業時間=11時~16時(現在はテイクアウト、デリバリー、通販がメイン)。不定休
平均客単価=約1400円
1日平均集客数=約50人(テイクアウトを含む)

◇外食レストラン新聞の2019年1月7日号の記事を転載しました。