ボンジョルノ。イタリア在住フードライターの鈴木奈保子です。今回ご紹介するのは、ローマの料理でもあるカルボナーラスパゲッティの簡単レシピです。日本でも人気なカルボナーラは日本のイタリアレストランで食べることができますが、実は本場ローマのカルボナーラスパゲッティとは、作り方も材料も少し違います。寒い季節にぴったりな濃厚な本場のレシピをぜひ試してみてください。

本場イタリアのカルボナーラには生クリームは使わない!

日本のカルボナーラは、生クリームが入っていてクリーミーでリッチな味わいが特徴ですね。ところが、本場のカルボナーラは、生クリームも牛乳も使いません。卵とチーズだけでソースを作るので、日本のカルボナーラよりもクリーミーさはありません。そこが一番の違うところです。

とはいっても、チーズのコクはあります。日本風で使う「粉チーズ」は、本場のレシピではローマの伝統的なチーズのペコリーノチーズを使います。このチーズは、今から2000年前の古代ローマ時代にも食べられていたというイタリア最古のチーズのひとつ。

新鮮な羊の乳を原料に最低でも8ヵ月熟成させたハードタイプのチーズで、パルミジャーノチーズのようにすりおろして使います。ピリッとした刺激を舌に感じる塩辛さが特徴です。

一般的にはペコリーノチーズだけを使いますが、パルミジャーノチーズを少し混ぜ合わせると、塩辛さが少し和らいで、やさしい味わいになります。

また、日本ではベーコンを使う場合が多いですが、イタリアでは、通常、豚のほほ肉の塩漬け(グアンチャーレ)を使います。特にローマ近郊の村アマトリチャーナのものが正当です。豚の脂身の部分が多いので、こってりした濃厚な味がここからも生み出されます。人によってはパンチェッタという豚の三枚肉の塩漬けを使う人もいます。

そのほか、パスタはスパゲッティを使う場合が多いですが、レストランなどではリガトーニという太いマカロニを使うところもあります。レストランのように、たくさんの量を作るなら、ショートパスタのほうが便利なのでしょう。

簡単カルボナーラレシピ

【材料】4人分
パスタ 320g
卵 4個
ペコリーノチーズ 30g
パルミジャーノチーズ 20g
グアンチャーレ 150g
にんにく 1かけ
黒コショウ 適量
塩 適量

【作り方】
1. 大きな鍋にたっぷりの水をわかして、一つまみの塩とパスタを入れ、袋の指示通りの時間茹でる。

2.フライパンに、薄切りにしたグアンチャーレとつぶしたにんにくをいれ、弱火でゆっくり炒める。

3. ボウルに全卵3個と卵黄1個を入れ、フォークでよく泡立てる。おろしたチーズも2種類、黒コショウも加えてよくかき混ぜる。

4. スパゲッティが茹で上がったら、フライパンに入れてグアンチャーレとよく味をなじませてから、卵液のボウルに移して混ぜ合わせる。パスタのゆで汁で水分を調節する。

5. パスタをお皿に盛って、挽きたての胡椒をたっぷりかけていただきます!

いろんなバージョンのあるカルボナーラレシピですが、卵の使い方もまた人ぞれぞれ。卵黄だけを使う人もいるかと思えば、全卵だけを使う場合もあります。個人的には、人数分よりも1つ分は卵白を減らすとちょうどいいと思います。

それよりも、卵は生なので新鮮なものを使うことが大切です! そして、冷蔵庫から出して室温に戻しておいた卵をしっかりと空気が含むように泡立てることが必要です。時間がないときは、50度のお湯に数分浸して温めておくといいですね。

もう一つのポイントは、黒コショウは絶対に粒コショウを作るときに挽いたものをたっぷり使うこと。コショウも大切なアクセントになります。

シンプルで簡単なのに、おいしくて人気のカルボナーラ。伝統的な郷土料理と言いつつも、それぞれの家庭の味のこだわりがあります。いろいろ試して、家族が喜ぶレシピをアレンジするのも楽しいですね。寒い季節、カロリーたっぷりの濃厚パスタ、お楽しみください。

炭焼きを意味するイタリアの簡単な伝統料理カルボナーラ

カルボナーラはイタリアのローマの伝統料理として知られています。卵と塩漬けの豚肉、チーズをパスタに絡めたシンプルな料理ですが、濃厚な味わいがイタリア人にも人気なパスタです。

ところが、ローマ料理と言いつつも、実はこのパスタ料理の由来は、案外わかっていないのです。

ひとつは、炭焼きを意味するカルボナーラという名前から、炭焼き職人が、体力をつけるために食べた簡単でカロリーたっぷりの料理、という説。

または、第二次世界大戦後、イタリアでも食べるものがないときに、アメリカ軍の兵隊から支給されたベーコンを使って、卵とチーズというあり合わせの材料で農民が考え出した即席パスタ、という説。

ほかには、黒コショウをまるで炭のようにたっぷりとかけるから、というものなど、諸説あるようです。

今となっては由来はわからないままですが、議論好きなイタリア人。それぞれの説を主張するのが楽しいのかもしれません。