「お昼ご飯はワンコインまで」というビジネスマンやOLに人気なのが、ランチタイムの弁当販売。コンビニや弁当店、飲食店の店頭販売などが競合するビジネス街では、いかに特色を出すかが勝負になる。大阪・本町にある「TEMARIYA 南本町店」は、女性がターゲットの“手まりおにぎり”専門店。キュートな姿と手頃な価格で、女性客の支持を伸ばしている。

女性ならば2口ほどで食べられるサイズ

同店のショーケースに並ぶのは、色とりどりの“手まりおにぎり”。一見すると和菓子?という雰囲気で、多彩な商品への興味と選ぶ楽しさが湧き上がる。店頭に用意するのは、定番10品と日替わりや季節のおにぎりの計15品ほど。定番商品には「おはぎ」(60円)もあり、食後のプチデザートとして好適である。

大きさは直径4cmで、女性ならば2口ほどで食べられるサイズ。「一般的なおにぎりでは、多種類は食べられない。いろいろな味を楽しんでほしいと、このスタイルを考案しました」と運営のブレイン代表・岡島利行さん。セントラルキッチンを稼働し、一部商品は店舗で製造。日替わりの「おかずパック」(2品入り、200円)も用意し、副食ニーズにも対応している。

最低価格は、塩おにぎり50円で、ほとんどが70円までという手頃感もポイント。小さい商品だからこそ製造には手間がかかり、価格に反映したいところだが、大阪は値段に厳しい。“買ってもいいかな”と思う限度額の価格設定という。

もう少し食べたくなる“後を引く味”に

同店では、おにぎりに合うコメを5種類選定し、日替わりで使用。塩分を控え、隠し味に昆布茶を使用するなどで工夫し、もう少し食べたくなる“後を引く味”に仕上げている。店頭には、“本日の使用米”を表示し、安心感と食べ比べをアピール。また、カロリー表示も行っており、「ご飯茶わんならどのくらい?」と聞いて購入する人もいるとか。

テークアウトメニューには、野菜をたっぷり使った「日替わり具だくさんスープ」(100円)もあり、こちらも好評。おにぎり3種類とおかず3種類の「おにぎり弁当」(400円)などのお得な商品もあり、スープを付けてもワンコインでOKというわけだ。

その他、イートインメニューとして、「出汁茶漬け」(おにぎり価格+250円)を提案。好みのおにぎりにアゴだしをかけてサラリと食べる、小腹がすいたときに利用しやすいメニューである。夜は、気軽に安く楽しめるバーとして営業。おにぎりを使ったアレンジメニューも提供している。

「お昼の移動は、勤務地から5分圏内で済ます人が多い。その近隣ニーズをいかに取り込むかが課題です。より認知度をアップし、集客倍増を目指したい」と岡島さん。店頭販売の他、残業食としての大量予約や委託販売などでの販路拡大も視野に、販売数を伸ばしたいと話す。

●店舗情報
「TEMARIYA南本町店」 経営=ブレイン/店舗所在地=大阪府大阪市中央区南本町3-2-16 丼池山下ビル1階/開業=2015年8月/営業時間=午前11時~午後3時(売り切れ次第終了)、5時~10時(LO9時30分)。土・日曜、祝日定休/坪数・席数=5.5坪・8席/1日平均客数=30人/平均客単価=昼400円、夜2000円

◇外食レストラン新聞の2017年5月1日号の記事を転載しました。