静岡県在住の元祖農業ガール・藤野いち子です。食べることが大好きな私が「旧東海道」と聞いて最初に思い浮かべるのは、静岡市丸子(まりこ)にある、とろろ汁で有名な「丁子屋(ちょうじや)」です。
その昔、旅をしていた人々が楽しんでいたとろろ汁を、現代の私たちもおいしくいただけるということで、ご紹介したく思います!

弥次さん・喜多さんも食べた!? 丸子宿で有名なとろろ汁

江戸時代に、日本橋から京都までを結んでいた東海道の20番目の宿場町だった丸子宿。そこに店舗を構える「元祖丁子屋」は宿場町の茶屋として1596年(慶長元年)に創業されたそうです。

歌川広重「東海道五十三次(浮世絵)」にも描かれている、旅人の弥次さん・喜多さんらしき人物がすすっているのが名物のとろろ汁です。自然薯が取れる時期に旅人にとろろ汁をふるまったのが始まりだったそうですよ。そして丁子屋は現在まで場所を変えることなく、この場で味を受け継いでいるのです。

参照サイト:
広重版画を読み解く 丁子屋

さて今回は、静岡・丸子宿のとろろ汁の簡単なレシピと食べ方をご紹介します。

丸子宿のとろろ汁は白味噌仕立て!自然薯または大和芋で

丁子屋をはじめとした、静岡市丸子のとろろ汁は白味噌仕立てです。味噌仕立てとは、簡単にいえば「自然薯をおろして味噌汁で割ったもの」ということです。

それではレシピをご紹介します。

【材料】
山芋、白味噌、鰹節削り節、ねぎ…各適量。

※ここで「山芋っていろいろ種類があるよね。どれが向いているの?」と思う方も多いでしょう。スーパーで販売している山芋には、自然薯・大和芋・長芋があります。

とろろ汁には粘りの強い山芋が向いていますので、自然薯か大和芋を使ってくださいね。自然薯はおいしく作れますが、秋冬が旬なので、それ以外の季節は大和芋をチョイスします。

大和芋はまるで手のひらみたいにゴツゴツしていますね。

【作り方】

1.鍋に湯を沸かし、かつお出汁を取ります。そのあと白味噌を入れて溶かし、出汁味噌汁を作っておきます。

2.次に、山芋の表面をきれいに洗い、ひげ根はコンロの火であぶっておきます。黒い部分は取り除きますが皮はむかなくても大丈夫です。

3.山芋をおろし金ですりおろします。すり鉢に入れて、すりこ木でごりごりと空気を含むように混ぜていきます。芋によってはかなり硬いと思います。

4.そこに(1)の出汁味噌汁を少しずつ入れて、のばしていきます。適度にゆるくなったら完成です。

これは丁子屋のとろろ汁です。このくらいの濃さが食べやすいですよ

とろろ汁は麦ご飯にかけて混ぜてズルズルといただくのが作法

さぁ! とろろ汁をご飯にかけていただきましょう。丁子屋では麦入りご飯を出していただきました。家庭でも最近は雑穀を入れて炊いている方が多いと思います。もち麦を入れるとちょっとモチモチしておいしいですね。

とろろ汁をご飯にかけたら、しっかりかき混ぜましょう。そしてきざみねぎを散らしてください。

そして、「ズルズルっ!」とすするように食べるのが、丁子屋おすすめの食べ方なんですって。ではいただきます♪

静岡丸子宿のとろろ汁を自宅でも味わって

静岡市丸子宿はバスまたは車で行くのがいいでしょう。山に囲まれた静かな町に、ひっそりとたたずむかやぶき屋根の丁子屋の建物を見て楽しみ、ついでに丸子路をめぐるのも楽しいと思います。

個人的には丁子屋の向かいにある丸子梅園の梅の花が咲くころが、最もとろろ汁がおいしくなる季節だと思います。 しかし夏は夏で、とろろ汁を蕎麦につけて楽しむメニューもありますので、季節を問わず、丸子を訪れていただきたいですね。食欲の落ちる夏場でも、とろろ汁ならばツルツルっと喉越しがいいので食べやすいですよ。

今回ご紹介した味噌仕立てのとろろ汁レシピ、ぜひご家庭で作ってみてくださいね。