買い物途中の休憩シーンとしてカフェ機能を充実させるチェーンは多い。休憩スペース自体は業種の違いに関係なく拡大傾向だが、取組み内容には業態の特色が出る。ホームセンター(HC)のカインズは、「カフェブリッコ」を店舗全体で取り組むライフスタイル提案の一部と位置付ける。最近の店舗では、観葉植物などのインテリアグリーンとオリジナル生活雑貨「トゥルーベリー」の売場をカフェと連動させるゾーニングが定番化している。

陳列したインテリアグリーンの緑でカフェ空間を演出するだけでなく、顧客には休憩しながら観葉植物などを取り入れた生活をイメージしてもらい、購入に結び付く効果を期待する。雑貨売場を隣接させるのも同様の狙いで、グリーンや雑貨をバラバラに提案するのではなく、休憩シーンの中で各自のライフスタイルに合ったコーディネートを検討してもらう。

そのような買い物シーンを想定した際、カフェブリッコの役割は買い物体験を豊かにするためのキーポイントになる。ドリンクやフードメニューはすべて店内加工で、看板商品のマフィンは生地を練ることから始めて出来たてを提供する。

マフィンの開発に地域の素材を活用

品質へのこだわりだけでなく、導入店の地域性も重視してメニューを開発している。6月オープンの前橋小島田店(前橋市)では、群馬県内産の梅を使ったドリンクや、地元名物の焼きまんじゅうをモチーフにしたマフィンを商品化した。熊本に出店した際に取引を開始した抹茶マフィンの原料緑茶は、7月に発売したフローズンドリンクの材料として全店で活用している。

カフェブリッコを運営するカインズフードサービス店舗運営グループの神政幸チーフフィールドカウンセラーは、「出店ごとに地域の生産者を訪ね、その土地だからこそできる商品づくりを目指している。抹茶のように地産地消から全国へ広げる商品も増やしたい」と語る。

カフェブリッコは、7月末で33店に導入している。展開エリアは東北から九州まで幅広いが、まだ総店舗数の15%程度にとどまる。前述のように新店の標準機能としているほか、既存店には改装を機に広げていく。

◇日本食糧新聞2018年8月8日号の記事を転載しました。