お弁当が傷みやすい時期に気を付けておきたい5つのポイント
高温多湿な日本の夏は、一年を通してもっとも細菌が繁殖しやすい時期です。こんな時期のお弁当作りは神経質になるうえ、面倒くさくなるばかりです。しかし基本的なポイントを押さえておけば、問題なく安心してお弁当作りができますよ。
安心してお弁当を食べられる食中毒予防の基本
傷みにくく、食中毒になりにくいお弁当作りのポイントをご紹介します。気温や湿度が上がる時期は特に要注意です。この5つのポイントを念頭に、安心して食べられるお弁当づくりに活かしていきましょう。
1.清潔を保つ
食中毒のほとんどは細菌などが原因です。お弁当容器やコップ、お箸だけでなく、手洗い(指輪や腕時計なども注意)、キッチン、キッチン周り、まな板やふきん、キッチンタオル、調理器具、冷蔵庫の取っ手などのお弁当を作る環境を衛生的にしましょう。
2.おかずは中までしっかり加熱する
しっかり加熱することで細菌やウイルスは撃退できます。とくに鶏肉、ひき肉、卵は食中毒菌の汚染が高いので、完全に火を通しましょう。要冷蔵食品や作り置きのおかずもしっかり加熱しましょう。
3.水気をしっかり切る
食材の水気はお弁当を傷める原因にもなります。水気の出やすい野菜は胡麻和えなどにして調理法を工夫したり、煮物は煮汁をしっかり切りましょう。
暑い時期の生野菜(ヘタ取りしたプチトマトはOK)は細菌が潜んでいることもあるので、できるだけ避けましょう。凍らせたブロッコリーや枝豆、ゼリーの利用を推奨されていることもあるかと思いますが、そのまま詰めてしまうと解凍時の水分でほかのおかずが傷みやすくなるので、ラップに包んでから詰めるようにしましょう。
4.加熱後は手で触らない
せっかく加熱調理をしても、直接手で触れてしまうとまた菌がついてしまいます。大きめの食材は加熱前に食べやすい大きさに切りましょう。詰めるときは菜箸を使用しましょう。おにぎりは、ラップで握るととても衛生的です。
5.冷めてから詰める
温かいまま詰めてしまうと、蒸気がこもって細菌の繁殖しやすい環境になってしまいます。完全に冷めてから詰めましょう。
他にも長持ちさせる方法とは?
どれも簡単に取り入れそうなものばかりです。箇条書きでご紹介します。
- 抗菌シートを利用する
- 抗菌効果のあるお弁当箱を利用する
- 保冷剤や保冷バッグの活用
- 酢の防腐効果を活用;お米2合:酢大さじ1で炊飯、酢の物、魚や野菜の酢洗い、お弁当箱や調理器具の殺菌など。
- はちみつの抗菌・殺菌作用を活用;はちみつを使ったおかずレシピを利用。
- 抗菌作用のある食材の利用;わさび、梅干し、しょうが、ゆかり、大葉など。
生野菜同様、果物もできれば夏場は避けたいものですが、別容器にし、なおかつ保冷をバッチリにしておけば今の時期でも安心でしょう。ご家庭にあるものでいくつか組み合わせて、日々のお弁当作りにお役立ていただければ幸いです。
知っておきたい主な食中毒菌の種類と原因・予防方法
ここで、主な食中毒菌のおさらいをしておきましょう。知識があることで、日々のお弁当作りもまた変わってきますよ。
<黄色ブドウ球菌>
手指の傷口、のど、鼻の中に生息しています。症状としては吐き気、激しい嘔吐、腹痛など。潜伏期間は平均3時間。主な原因食品としてはおにぎり、お弁当、サンドイッチ、和生菓子などです。
予防方法:正しい手洗い。手指に傷があるときは直接食品に触れないように注意してください。
<カンピロバクター>
鶏などの動物の腸の中に生息しています。症状としては水様下痢、発熱、腹痛、吐き気で、潜伏期間は平均で2~3日。とくに鶏肉などの生の食肉、鶏肉から汚染を受けた生野菜などの食品が主原因です。
予防方法:食肉の生食は避けて充分に加熱すること。また食肉を扱った器具はその都度洗浄・消毒して乾燥させましょう。
<サルモネラ属菌>
牛・豚・鶏などの動物の腸に中に生息しています。症状としては下痢、腹痛、発熱(高熱)など。潜伏期間は平均12時間。主な原因食品としては、卵かけご飯、親子丼、オムレツ、ケーキなどの洋菓子が挙げられます。
予防方法:卵を冷蔵庫で保管し、割ったらすぐに調理しましょう。また卵や食肉は 充分に加熱しましょう。
<腸炎ビブリオ>
海水中に生息しており、魚介類に付着しています。症状としては腹痛、水様下痢、嘔吐、発熱で、潜伏期間は8~24時間です。主な原因食品としては魚介類の刺身、すし、また魚介類から汚染された食品が挙げられます。
予防方法:魚介類は冷蔵庫(4度以下)で保管し、調理前に真水で良く洗いましょう。魚介類を扱った器具はその都度洗浄・消毒・乾燥させましょう。
<腸管出血性大腸菌(O157など)>
牛などの動物の腸の中に生息し、症状としては下痢、腹痛、嘔吐、潜伏期間は3~5日です。主な原因食品としては牛の生レバー、ユッケ、ローストビーフ、牛肉から汚染を受けた食品などです。
予防方法:牛肉・レバーは充分に加熱し、食肉を扱った器具はその都度洗浄・消毒・乾燥させましょう。
<ノロウイルス>
人の腸の中とカキなどの二枚貝に生息しています。症状として吐き気、嘔吐、腹痛、下痢で、風邪によく似た症状です。潜伏期間は24~48時間です。主原因となる食品としては、生ガキ、加熱不十分な貝料理、ウイルスの汚染を受けた食品などです。
予防方法:正しい手洗いが基本です。二枚貝などは充分に加熱します。二枚貝を扱った器具はその都度洗浄・消毒・乾燥させましょう。
<ウェルシュ菌>
人や動物の腸の中に生息しており、症状としては軽度の下痢、腹痛です。潜伏期間は平均10時間です。原因となる主な食品は大量に調理されたカレー、シチュー、煮物、スープなどが挙げられます。
予防方法:大量の食品を加熱調理して保存する際には、急速冷却後に小分けにして冷蔵庫に保存しましょう。
<セレウス菌>
自然界に広く分布し、穀類を汚染します。症状としては比較的軽症ではありますが、吐き気や嘔吐。潜伏期間は30分~3時間です。主原因となる食品はご飯、チャーハン、スパゲティなどの穀物を使った料理です。
予防方法:米飯や麺類の作り置きの常温保存は避け、小分けにして急速に冷却して冷蔵庫に保管しましょう。
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