皆さんは「おこわ」をどのくらいの頻度で食べるだろうか。白米のご飯であれば、多くの人は毎日のように食べているに違いない。だが「おこわ」はどうだろう。おそらく「おこわ」を日常的に食べるという人はいないはずだ。「少なくとも1週間に1度は食べる」などというのはかなりの「おこわ」好き。せいぜい1ヵ月に1~2回、年に数回しか食べないという人も決して少なくないだろう。「おこわ」は、私たちが毎日食べるご飯の一種でありながら、あくまでも嗜好(しこう)品という奇妙な食べ物なのだ。

ふと思い出すと食べたくなる

「米八」は、全国に90店舗以上を展開する「おこわ」の専門店である。チェーンとしては決して大きな規模ではないが、商品が「おこわ」だけであることを考えると、これはなかなかすごいことだろう。もちろん、「おこわ」だけといっても「米八」には豊富な弁当類が揃っているし、そもそも食物販という小売業だから成立する業態なのかもしれない。

しかし、多くの人がごくたまにしか食べない「おこわ」という商材でも、このようなビジネスが可能なのだ。少なくともそこには、外食が学ぶべきヒントが何か見つかるのではないか。

今回購入したのは、「米八」の定番おこわ3種類と季節のおこわ2種類が入った「五色おこわ」という商品だ。同店には、「お赤飯」「五目おこわ」「栗おこわ」という定番の他に、季節によって変わる2種類の「おこわ」が用意されている。

昔はもち米が貴重だったので、「おこわ」が慶弔のときの料理に使われるようになった、という話を何かで読んだことがあるが、本当かどうかは分からない。だが、「米八」のおかげで、私たちがいつでも、食べたいときに「おこわ」を食べることができるようになったということだけは間違いない。

【店舗情報】
「おこわ米八」
所在地=全国の百貨店、駅ビルなど

◇外食レストラン新聞2018年5月7日号の記事を転載しました。