4月某日、東京・下北沢のGeki地下Libertyで、劇団「乱痴気STARTER」の公演「ブルース・ウイルス 〜ダイ・ハードな1週間〜」を観てきました。ウイルスと免疫細胞、腸内細菌を擬人化した演劇です。

免疫細胞たちは体の中で戦っている

動物には「免疫」という、病気や怪我から体を守る防御システムがあります。

血液中に存在する免疫細胞(白血球)と呼ばれる、好中球やナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージなどさまざまな細胞のグループがあり、それらが連携して免疫の役割を担っています。外界からやってくる菌を異物と認識し、殺菌したり食べたりするのです。

また、免疫には大腸内の腸内環境も大きな影響を与えていて、善玉菌が増えると免疫力が高まることも知られています。悪玉菌でも善玉菌でもない日和見(ひよりみ)菌という「多数派」も存在し、善悪どちらが優位かでその立場を変えることもわかってきました。

今回観た芝居は、「タドコロさん」の体内にある免疫細胞グループと、外界から潜入してきた風邪のウイルスとの戦いを描いたファンタジーです。

ウイルスたちはタドコロさんに風邪を引かせ、くしゃみなどでウイルスを広く蔓延させることができるか、免疫細胞グループは、風邪を防ぐことができるか。最初は強力な免疫細胞グループの連携プレーに怯えるウイルスたち。

ところがタドコロさんは不摂生。風邪気味なのに食事や生活習慣に気をつけません。果たして、ウイルスと免疫細胞、勝つのはどちらでしょう……?

皆さんの中には、清水茜さんの人気マンガ「はたらく細胞」(講談社)を思い浮かべた方もおられると思います。しかし、この劇団の「ウイルス擬人化シリーズ」は、そのマンガの連載が始まるより前から上演されていたのだそうです。激しいアクションと力強いセリフ。テンポの良いエンタメ作品でした。

免疫力アップと食事の深い関係

まだわかっていないこともたくさんありますが、免疫力を高めるには食事も大いに関係があるようです。食品に含まれる各種ビタミンには免疫力を高めるものが多く、野菜や果物の摂取はそのためにも望ましいと言われています。

腸内で善玉菌として働くビフィズス菌などを含むヨーグルトなどは、プロバイオティクスと呼ばれ、生きた菌を直接取り入れることで腸内の善玉菌を増やすといいます。ただし、胃の中の胃液は体内に細菌が侵入しないよう酸で菌を分解するので、ほとんどは死んでしまいます。しかし、死菌も腸内環境をよくするといいます。

小腸で消化吸収することができず、大腸内に来てから善玉菌の餌となり、善玉菌を増やすものに水溶性食物繊維やオリゴ糖があります。これらはプレバイオティクスと呼ばれています。プロバイオティクスとプレバイオティクスは、腸内環境を善玉菌優位にして、免疫力をアップさせることが期待されています。

海藻を使ったレシピをご紹介!

プレバイオティクスの水溶性食物繊維は果物や海藻などに多く含まれています。ここでは、海藻を使った料理を紹介します。

生もずくと蒸し大豆のお好み焼き

まず「生もずくと蒸し大豆のお好み焼き」をご紹介します。以前、三重県在住のブログ友だちに、生もずくのお好み焼きというのを教えてもらいました。試してみたらおいしくて家族にも好評だったため、以来時々作っています。

今回は、同じくプレバイオティクスであるオリゴ糖の豊富な蒸し大豆も一緒に混ぜてみました。

〈材料・2人分〉
・生もずく…100g
・蒸し大豆…100g
・小麦粉…100g
・卵…2個
・山いも…50g
・だし汁…150g
・めんつゆ(3倍濃縮)…大さじ2
・サラダ油…大さじ1
(小麦粉と山いもの代わりにお好み焼き粉100gを用い、だし汁ではなく水にしてもよい)

〈作り方〉

  1. 山いもをすりおろし、小麦粉、だし汁と混ぜ合わせる。
  2. (1)に生もずく、蒸し大豆、卵を加えて混ぜ合わせ(もずくが長い場合は適当な長さに切っておく)、油を熱したフライパンで両面焼く。

3.器に盛り、めんつゆをかける。

うに海宝漬け

続いて「うに海宝漬け」をご紹介します。岩手県の郷土料理に「海宝漬け」というものがあります。味付けめかぶといくら、煮あわびを混ぜたものです。めかぶの上にいくらと煮あわびをきれいにトッピングした中村家の「三陸海宝漬」が有名です。

ここではめかぶの上にほたて、うに、いくらをトッピングします。

〈材料・3人分〉
・細切りめかぶ…300g
・めんつゆ(3倍濃縮)…大さじ4と2分の1
・ほたて貝柱(生)…9粒
・いくらしょうゆ漬け…100g
・うに(生)…9枚

〈作り方〉

  1. 細切りめかぶとめんつゆをかき混ぜ、器に敷く。
  2. (1)の上にほたてをのせ、周りにいくらを散らし、ほたての上にうにをトッピングして完成。

数の子入り松前漬け

続いて「数の子入り松前漬け」をご紹介します。北海道の名物松前漬けに数の子を加えました。お正月のおせちにもぴったりです。

〈材料〉
・切り昆布(乾)…30g(1袋)
・切りいか(するめ)…30g(1袋)
・にんじん…中2分の1本
・数の子…100g
・酒…200cc
・本みりん…200cc
・しょうゆ…大さじ2

〈作り方〉

  1. 数の子を薄い塩水(分量外)に入れて冷蔵庫で1〜2日浸け、ときどき水を取り替えながら塩分を抜き、薄皮を剥ぎ、一口大にカットする。にんじんを細切りにする。
  2. 酒と本みりんを煮切り、しょうゆを加えて煮立て、冷ます。
  3. (1)と切り昆布、切りいかを(2)に混ぜ、1〜2日間、時々かき混ぜながら漬け込む。水分が足りないときは水を加えても可。

ビタミンや水溶性食物繊維といった食品の成分だけではなく、おいしいことも免疫力アップにつながると考えられます。おいしいという心地よい感情は副交感神経を優位にし、ナチュラルキラー細胞を活性化するからです。

単に味が良く、見た目が美しくてインスタ映えしそうでも、きれいすぎてスキがない料理は、人を緊張させ、交感神経を優位にさせてしまうかもしれません。そう考えると、その人にとってくつろげる楽しい食事こそ、免疫力アップのための重要な決め手といえるのではないでしょうか。