北海道札幌市在住の道産子ママライター・三柴千果です。子どもに北海道の郷土料理やアイヌの食文化を知ってもらい、一緒に食事を楽しみたいという思いから、具だくさんで栄養満点のアイヌ料理「オハウ」を作りました。
皆さんは、北海道の郷土料理「三平汁」という塩ベースのお汁をご存知でしょうか? 三平汁のルーツはアイヌのお汁「オハウ」と言われています。今回は、三平汁のルーツとも言われるアイヌ料理「オハウ」の作り方とアイヌの食文化について紹介します。

石狩鍋は味噌ベース、三平汁は塩ベース…ではオハウは?

北海道の料理と言えば、「石狩鍋」を思い浮かべる人も多いかもしれません。石狩鍋は味噌ベースで生鮭や酒粕、キャベツなどを入れるお鍋のこと。対して、三平汁は塩ベースで、塩漬けの鮭やニシンの粕漬けなどと根菜類を使って作るお汁です。お魚本来の旨味と塩漬けや粕漬けにされた魚から染み出る塩気を楽しめる料理なんですよ。

三平汁とオハウの違いは、使うお魚が塩漬けや粕漬けではなく、寒干しした鮭を燻製にしたものというところにあります。

アイヌ民族は食料を保存するために、外に置いて冷凍させたり、部屋の囲炉裏で燻製を作ったりしていました。雪が降り、漁や狩り、山菜狩りができない時期が長かったことから、冷凍や燻製で保存する文化が生まれたのだそうです。

中でも珍しいのは、じゃがいもを外で冷凍させる「凍みじゃがいも」でしょうか。じゃがいもを生のまま冷凍すると食感が変わってしまうため、多くの人は冷凍庫にいれませんよね。アイヌの方法では、じゃがいもを外に出して冷凍・解凍を繰り返し、凍みじゃがいもを作って保存することも。

オハウに使う鮭も、アイヌ独特の保存方法で作られた「サッチェプ」と言うものです(アイヌ語の発音では小さいプ)。干した鮭を囲炉裏で燻製させて作ります。

サッチェプは購入することができませんので、今回は塩鮭とスモークサーモンを使ったオハウのレシピを紹介します。

参考サイト:
北海道白老町 アイヌの伝統食『オハウ』が極寒の暮らしを支える|Webマガジン「発酵美食」|マルコメ
アイヌ民族博物館

参考書籍:
「アイヌ文化の基礎知識」アイヌ民族博物館監修/草風館

オハウの作り方

<材料>(2人分)

  • 塩鮭 1切れ
  • スモークサーモン 50g
  • じゃがいも 中1個
  • 大根 5㎝
  • 人参 5㎝
  • 玉ねぎ 小2分の1個
  • 長ねぎ 3分の1本
  • 昆布 4g
  • かつお節 5g
  • 塩 小さじ5分の1~4分の1

<作り方>
1.昆布とかつお節でだしを取ります
オハウの出汁は昆布だけでも良いのですが、かつお節を入れることで全体の風味が引き締まります。

2.だしを取っている間に材料を切る
基本的にどれも食べやすい大きさにカットしていただければOKですが、汁物なので少し小さめにすると食べやすいです。

大根や人参はいちょう切り。じゃがいもも大きければいちょう切りで、小さければ半月切りにします。玉ねぎは薄切り、長ねぎは斜め切り、塩鮭の切り身は4等分に切りましょう。

3.お湯に入れる
根菜から順番にお湯に入れます。根菜に火が通ってきたら塩鮭を入れ、最後に長ねぎとスモークサーモンを入れて、塩で味を調えて完成です。

具だくさんで栄養満点!根菜で芯から温まるオハウを召し上がれ

オハウは塩ベースの優しい味わいが特徴のお汁です。使っている野菜もじゃがいもや人参、玉ねぎなど家庭に常備していることが多いものなので、塩鮭を買ってくればすぐに作れると思います。

今回は、サッチェプの雰囲気を出すためにスモークサーモンを使いましたが、もちろんスモークサーモンを入れずに塩鮭だけで美味しくいただけます。反対に塩鮭ではなく、スモークサーモンのみでも、骨取りなどの手間が省けますし、燻製の香りが漂う美味しいお汁になりますよ。

ぜひ、作って召し上がってみてくださいね。