米国オレゴン州発で新たなスーパーフード「ダルス」が注目されている。
「ダルス」とは、「紅藻」類の一種だ。日本では海藻はビタミン、ミネラル豊富な伝統食材として広く認知されているが、米国では新たなトレンドとして脚光を浴びている。

「食と健康」テーマに紅と緑の日米海藻共演

江南化工ヘルスケア事業部は3月29日、渋谷の人気レストラン「navarre(ナヴァー)トウキョウ」で「食と健康」をテーマに海藻の米国代表「ダルス(紅藻)」、日本代表「アオサ(緑藻)」の料理共演および日米の研究者を招いてセミナー「海藻パワーの夕べ」を開催した。米国からの逆輸入で、今後、日本でも海藻が盛り上がりそうだ。

オレゴン州ポートランドは、人口比でみたレストラン数が全米一の街。食に対する意識が高く、食材へのこだわりが強いことで知られる。「ナヴァー」は、2002年ポートランドでオーナーシェフのジョン・タボーダ氏がオープンし、09年にはオレゴン州の「レストラン・オブ・ザ・イヤー」に選出されたほどの人気店だ。
「Farm to Table~信頼する農家から直送される食材の魅力を、そのままテーブルへ~」という思想のもと、新鮮なオーガニック野菜、自然派ワイン、オーガニックワインが人気。

「鯛のアオサ蒸し」鯛を三枚におろし、間にたっぷりのアオサを入れて蒸し上げる。鯛のうまみとアオサの香りの相乗効果。海藻の食文化を誇る日本だからこその料理。

健康と食への意識が高い女性を中心に熱い支持

「ナヴァートウキョウ」は16年4月に日本1号店として渋谷2丁目青山通り沿いにオープンした。本店の思想をそのまま継承した料理とワイン、そしてオレゴン直送のビール「ハードサイダー」も楽しめる。
健康と食への意識が高い女性を中心に熱い支持を受ける人気店。海藻の「紅」と「緑」の共演の舞台として最適だ。

同店は、米国大使館主催「テイスト・オブ・アメリカ料理コンテスト」でも優勝を果たすなど、その魅力は米国大使館の折り紙つき。また、昨秋からは要望が強かった「ケータリングサービス」も始めている。

navarre(ナヴァー)トウキョウ

店舗情報:▽店名=navarre Tokyo▽所在地=渋谷区渋谷2-9-8▽開店日=16年4月21日▽営業時間=ランチ午前11時30分~午後3時、ディナー午後5時~11時、日曜休

炒めるとベーコンの味が!?

<オレゴン州立大学教授 チャールズ・トゥームズ氏の話>

海藻が米国で大きなトレンドとなっている。海藻はSea Weed(海の雑草)と呼ばれていたが、今ではSea Vegetable(海の野菜)と認識されてきている。

米国の食文化のトレンドを振り返ると1960年、「安く・早く・均一の味」を提供するファストフードが消費者に受け入れられた。しかし、この結果、消費者は肥満という問題を抱えることになった。

その反動から1978年、sustainable(持続可能)な新たなトレンド「オーガニック」が生まれた。サプライチェーンは大きく変わり「Farm to Table」と、農場から食卓までが結ばれ、生産者と消費者の関係が近づいた。食材価格は高くなったが、食への関心の高い消費者はそれを喜んで受け入れた。

しかし、人類は現在、新たな問題に直面している。世界の人口は70億人を突破し、今後半世紀もたたずに100億人になろうとしている。地球規模で激しい気候変動が起き、水資源、耕作地は不足していくことは確実だ。

オレゴン州立大学教授 チャールズ・トゥームズ氏

このような中、救世主として期待されているのが海藻だ。日本の方々ならご存じの通り海藻は栄養価が高い。そして農業と違って耕作地も新鮮な水も必要ない。オレゴン州立大学が20年間にわたって研究を続けてきた「ダルス(紅藻)」は水槽で養殖でき、しかも1日10%成長する。まさにこれからの時代にマッチした食資源だ。

「ダルス」は炒めるとベーコンのような味がする。そしてサラダドレッシング、チップス、パワーバー(スポーツ栄養食品)などの食品原料、化粧品原料、畜産の飼料などさまざまな分野への応用が可能だ。

「ファストフード」「オーガニック」といった食のトレンドは米国が創ったものだ。今後も新たな食のトレンドは米国から生まれるだろう。そして、今、米国では「海藻」がトレンドとなっている。このことを皆さんに知っていただきたい。

◇日本食糧新聞の2017年4月21日号の記事を転載しました。