野菜高騰の長期化でカット野菜や野菜ジュースは活況
野菜価格の高騰が2月も続き、長期にわたっている。白菜、大根、キャベツの店頭価格は中旬、平年比倍増で推移し、高止まりは4ヵ月に及ぶ。食品市場は代替需要に沸き、売価変動が少ないカット、冷凍野菜などが増え、一部で供給不安もうかがえる。加工品も野菜ジュースを筆頭に代用ニーズが盛ん。消費者の健康・野菜志向の深まりが感じられる冬商戦になった。
野菜高の主因は天候不順。秋冬野菜は昨年10月下旬まで安価だったが、同期の台風や同11月の長雨を期に全般に不作となった。以後は、低温や年末の前倒し出荷などから高値が続く。
農林水産省が調べた量販店価格の全国平均は12~14日、白菜が1kg381円で過去5年平均比234%。大根が207%、キャベツ222%となり、前週比も2週連続で2桁増。1月中旬から相場安定の兆しが見えたが、降雪や寒波が生産に影響した。来月の出荷見通しは28日公開。2月後半を見込んでいた価格回復は、3月中旬以降へずれ込みそうだ。
青果売場では野菜を小分けにし、値頃感を訴求。平均気温は昨年9月から例年より下回り、鍋つゆやスープ、シチューの販売が増えた。具材となる野菜消費は底堅く、特にカットやセット野菜の売上げを伸ばした。単価高が貢献し、スーパーの17年12月~18年1月の青果売上げは大幅増。業績全体をけん引した。
代替需要は青果以外の冷凍、乾燥野菜や浅漬け、サラダ惣菜などにも波及した。凍菜売上げは、ローソンストア100で前年比20%以上伸びるなど、活況を呈している。原料はカットを含めて国産の契約栽培が多いとされ、需給のひっ迫と生育不良は生鮮同様だ。産地開発を続け、安定供給の責務を果たしている。
加工品は海外産に原料の多くを頼り、強みは長期展開によるコスト・価格安定。野菜ジュースは一昨年から生産が回復し、トマトの機能性情報が定着した。野菜高も手伝って、摂取ニーズが高まっている。
納豆や豆腐はTV番組で機能性訴求が進み、サラダの具材使用も促されて販売好調。サラダ用途では今冬、マカロニやワカメ、精麦売上げも順調だった。
葉物野菜を使うメニュー用調味料は不調。半面、麻婆豆腐やかに玉といった豆腐・卵惣菜の素は拡大を続けている。販売堅調だったドレッシング市場も1月は減少したとみられ、お好み焼き粉も苦戦した。今季の野菜不足は主に小分けやカット、冷凍野菜、ジュースなどで充用。
消費者の絶対的な健康・野菜志向と加工技術、物流機能の向上が相まって、健康価値を損ないにくい新たな代用法が浸透しつつある。
◇日本食糧新聞の2018年2月26日号の記事を転載しました。
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