米どころ新潟で生まれ育った、たべぷろ編集部員・秋山ツクルです。コメがうまい新潟、おもちがまずい訳がありません。お正月におもちを用意される方は多いと思いますが、「残った」という意見もまた、多いのが実情のようです。
正直なところ、我が家ではおもちが残ることはありません。食べ方をいくつかご紹介します。まずはちょっとだけ、おもちの特徴と鏡開きについての解説を。

お気に入りのおもちはどこにある?

毎年我が家のおもちはメーカー品ではなく、ずーっと手作りの杵つきもち。昨年の10月10日、「もちの日」に初めてパック入りのメーカー品をいただいて食べ、なかなかおいしいぞ!と感じました。

パックのおもちはテレビコマーシャルでも見ますが、加熱後、とろけたチーズのようにのびます。この理由は、水分量の多さと考えられます。ここは各人の好みですが、「のびるもちなんて、もちじゃない」とおっしゃる方も。

コシの強いおもちがお好きなら、「マイ餅屋」をお探しになると良いでしょう。ムチムチした、昔っぽいおもちが食べたいなら「もちは餅屋」で!

現在は多くのご家庭がメーカーのパックされたおもちを購入すると思います。今回の画像は、すべてパックされた切り餅と鏡餅を使いました。

鏡開き・・・なぜ「開く」?

さて、お正月のおもちは「お供え物」です。役目を終えた後、1月11日におさがりをいただく風習が鏡開きです。武家文化の名残が多い日本の伝統行事ですが、鏡開きもまたしかり。「切る」という言葉を嫌い、縁起よく「開く」とした、と言われます。

しかしなぜ「開く」のか。

パック技術がない時代には、おもちはお正月のために用意され、お正月の期間、床の間や神棚に飾られ、空気にさらされて自然と乾くのが普通でした。

おもちを乾かした経験がない方は、ぜひパックから出し、空気にさらしてみてください。乾燥するにつれてヒビが入り、手で割れ目を「開く」と小さく分けることができます。上画像は、市販の鏡餅をパックから出してわずか数時間後の状態です。

そもそも乾いたおもちを包丁で切るなんて、無理。個人的には「鏡餅は開くもの」と納得しています。

完全に乾燥してしまうと分割も大変ですが、生や生乾きのうちに小さくしてしまうと良いでしょう。パックを開けてすぐ包丁で切っても良いですし、「縁起」を重視するなら、ヒビが入ったら手で開きましょう。

数日乾かして(上画像左側)、焼いて(上画像右側)、お汁粉へ。

こちらは、あんこの香りが苦手な方にもおすすめのミルク汁粉です。

おもちで「あられ」「おかき」を作ろう!

我が家では普通に食べるおもちの他に、少し取り分けて冷凍保存、さらにもう少し取り分けて乾燥保存しています。冷凍すればカビも生えずに長持ちし、焼いたりゆでたり、通常の温め方で食べることができます。

そして乾いたおもちはまた別の食べ方をして、これがまたおいしい。おもちのいろんな魅力を味わうことができます!

パック入りのおもちも、中身を取り出して丁寧に切って、乾燥させましょう。

切ったら平たいザルやお盆、天板などに広げ、カラカラに乾いたら、乾燥剤と一緒に空き缶や空き瓶で保存します。

「5ミリ角に切って乾燥したもの」が中央、左はそれを揚げた「おかき」、右がトースターで焼いた「あられ」です。塩でもお砂糖でもそのままでも、市販の味とは一味違うおいしさです。

こちらは「1ミリ厚の短冊の生乾き」を揚げた「おかき」。

どちらも同じサイズの短冊切りを同日に揚げたものですが、油の温度の違いが、ぜんぜん別のおかきにしてくれました。食感も全然違うんですよ。

切り方、乾燥時間、加熱方法、温度。工夫次第で違ったものが出来上がります。市販品はいつも同じですから、ここは「手作りの良さ」と表現したいですね。

おもちで「もなかの皮もどき」

ご存知でしょうか、もなかの皮の材料はおもちなのです。

贈答品で人気のお吸い物の具入りもなか。お椀に割り入れ、お湯を注いで汁にとろけたもなかがとってもおいしかったことを思い出しました。

もなかの皮みたいに、軽ーく膨らませて汁物の浮き身にしてみましょう。
この場合は乾燥させず、パックから出して、切りたてを加熱。水分がおもちを大きく膨らませ、もなかの皮のようにフワッと軽い口当たりに。

おもちは薄く小さく包丁で切ります。油を薄く引いたアルミホイルにのせ、トースターで5分程度加熱、お吸い物やおみそ汁に乗せていただきます。

ふわふわ、とろり。カリ、サク!も味わえます。

縁起物でもあるおもち、ぜひ残さず食べましょう!