UCC上島珈琲は5日から、最高級の「ブルボンポワントゥ」を限定発売し、鮮度訴求を強める。香りを一般品比6倍、賞味期限2年に伸ばしたアルミ缶を新たに開発した。発売10周年を記念して五感で楽しめる“香り鮮度”、果物など食事との好相性を伝える。「本格コーヒーの楽しみは少しの手間で実現」(緒方恵介マーケティング本部グルメコーヒー事業部長)と積極提案。成長市場のこだわり志向、家庭飲用への消費シフトをとらえる。

「ポワントゥ」は主要種のアラビカを二分する、ブルボンの起源種に近い。野花をブーケに集めたような、焙煎後の繊細で豊かな香りを新ボトルに密封した。アルミ製の特殊缶は密度が高く、酸化などによる劣化を防止。開封に専用器具が必要な、業務用限定の既存ボトルを、手で開けられるように改良した。

新容器は品質維持とともに、落下・開封時の破裂防止といった安全性を担保(特許申請中)。開けた瞬間、香気成分を含む炭酸ガスが音を立てて放たれ、6倍の香りが立つ(センサー調査結果)。

フランス語で尖(とが)っているという品種名の通り、コメの長粒種のような特徴が、直に触って確かめられる。見た目にも浅いりの蒸らしで1.3倍に豆が膨らみ(深いり1.4倍)、口にすれば澄み切った味わい。甘みを含んだ酸味が後を引き、希少種らしく、カフェイン量は一般の半分という。

「ブルボンポワントゥ」のハンドドリップ。大きく膨らんで入れる楽しさも演出

今年の生産量は1tを見込み、250kgを手当て。初めて台湾直営店でも販売し、国内は通販サイト「ほの珈琲」や直営27店などで販売する。アルミボトル入りの豆150gで税込み価格は1万2960円。

発売日にはメディア向けに試飲セミナーを行い、紙や水、フレンチなどドリップ法で食べ合わせが広がる楽しみを紹介した。家庭用商品は産地情報や味覚チャートを参考に好み、食材と合わせることを提案。専門店での購入金額は直近5年で27%伸び、週当たり家庭飲用が4年で約1杯増えている好況に応じる。

「ポワントゥ」はフランス・ブルボン朝の1700年代にブルボン島(現レユニオン島)で栽培され、国王も愛したとされる。UCCは、転作や台風などで1942年に途絶えた生産を、フランス政府・県庁と共同で再生。2007年から日本で独占販売し、年一度の限定発売が今年で10周年を迎えた。

◇日本食糧新聞の2017年12月11日号の記事を転載しました。