無塩トマトジュースの高血圧、LDLコレステロールの低下作用が明らかになった。東京医科歯科大学と北海道栗山町が、町民にトマトジュースを1年間飲んでもらい、11月に健診結果を発表した。ジュースはキッコーマン飲料が提供し、町民向け報告・講演会も協賛。実証された健康効果を生かし、消費者に継続飲料を促す。

公表した健診結果の平均値±標準偏差は、収縮期血圧が(単位mmHg)141±12から1年後は137±16に、拡張期83±10が81±11に下がった。LDLコレステロール(単位mg/dl)は155±23から150±25に低下。リコピンなど機能性成分が寄与したとみられる。

医科歯科大の寺内公一教授、栗山町保健福祉課は15年6月から「トマトジュース365チャレンジ」を始め、町民の健康増進を後押し。「デルモンテ食塩無添加トマトジュース200ml」を毎日飲むように募り、町民1万2344人中481人が参加。

1日平均100ml以上の飲用が続けられた472人の15年度健康診断、翌年の診断を比較した。未治療の高血圧、脂質異常者のLDLコレステロールが下がったと11月4~5日の日本女性医学学会で発表した。

栗山町は11月19日に研究成果を説明する「健康づくり講演会」を開催。寺内教授が無塩トマトジュースの日常摂取は性別・年齢を問わずに降圧、悪玉コレステロールの減少につながると伝えた。町民からは無塩ジュースを飲むのが習慣化したとの声が上がり、健診受診率は15年度から上昇。北海道平均より低率だったのが上回り、16年は30%まで高まった。

トマトジュースの健康効果が徐々に明らかになったことから、寺内教授らは市町村協業の住民調査に着手した。

キッコーマンは12年から医科歯科大に「女性健康医学講座」を寄付。今回の調査にも自治体の選定や商品提供などで協力した。講演会にも日本デルモンテから「トマトおもしろゼミナール」を提供。リコピンの多い加工用トマトの優位性、料理の風味増しを紹介した。

吹雪の中の開催になった会だが、町民100人が集まり、ジュースを使ったトマトカレー、味噌汁も好評を博した。キッコーマン飲料は産学官のチャレンジを販促企画「トマトジュース365プロジェクト」へ昇華。栄養機能表示やアレンジレシピの提案などを尽くし、健康寿命を延ばす。

◇日本食糧新聞の2017年12月6日号の記事を転載しました。