10月7日から11日まで、ドイツ・ケルンメッセ会場で、世界最大の食品業界見本市「アヌーガ」が開催された。隔年で実施され、今年で34回目。世界最大かつ最も注目される食品産業の見本市だ。107ヵ国から7400以上の企業が出展。日本からも80社以上がブースを構えた。5日間の来場者数は198ヵ国から1万6500人に上る。

高付加価値食品、畜産、冷蔵・生鮮食品、冷凍食品、乳製品、パン・ベーカリー、ホットドリンク、コールドドリンク、酒、オーガニック食品、機材・資材など、カテゴリーごとに11の会場に分かれる。

展示面積は日本最大の食の見本市の約10倍。そのほかに各国パビリオン、オーガニックマーケット、テイストイノベーションショーなどの特設展、また各種セミナーも開催。数日費やしても、すべてを回り切ることはできない体力勝負の見本市である。

近年、新たなトレンドが多く出現した。これらの大半は、数年以内に本格的に日本に入ってくると予想される。特に欧米への輸出を考えている企業は、これらの考え方を一通り理解し、商品へいち早く適応することが求められる。同じ商品でも、これらをPR要素に盛り込めば、グローバルでの訴求力が各段に高まる。

一番に押さえるべきトレンドは「クリーンラベル」。日本ではまだなじみのない言葉だが、すでに世界では共通語だ。体に良くない原材料を使用していないこと「クリーン」、そして原料生産工程、加工プロセス、サプライチェーンなどの消費者に対する透明性「クリアー」を表す概念だ。海外で商談をする際は、自社商品がどのようにクリーンラベルを実現しているか示さなければならない。

ナタネ油やココナツを原料にした植物性バター

二つ目は、肉や乳製品の代替となる植物由来食品の急速な台頭。特筆すべきは、これが決してベジタリアンやヴィーガン向けにとどまらなくなってきている点である。主ターゲットは「フレキシタリアン」。肉を食するが健康のことを考えて控える日を作るなど、柔軟な対応をする人たちをこのように呼ぶ。この層へ訴求する食品が劇的に増えてきている。

三つ目は、一昔前なら主にスポーツ選手が摂取していた栄養素を、多くの人が積極的に取り始めたということ。最も着目すべき栄養素はプロテイン(タンパク質)。一般的にプロテインが豊富な食品は肉や乳製品と認識されている。しかし今求められているのは、前述のトレンドとも関係するが、植物由来のもの。できるだけ健康的にプロテインを摂取するニーズが高まっている。

◇日本食糧新聞の2017年11月17日号の記事を転載しました。