エビフライは、洋食ランチの人気メニュー。しかし、登場したエビの貧弱な姿にがっかり……ということも。そんな客の期待にガッツリと応えるのが、大阪・堺筋本町にある「AB-Kitchen」。ビッグな天然エビを手頃に楽しめる店として、話題沸騰中である。

天然ものに特化したエビフライ専門店

昨年9月にオープンした同店は、大阪では珍しいエビフライ専門店。それも、天然ものに特化したスタイルで、一般的な洋食店とは一線を画している。ビジネス街にあるため、平日のランチタイムは周辺の会社員で満杯状態に。また、土曜日は、大エビの噂を聞きつけた遠方からの客でにぎわうという、好調なスタートを切っている。

看板メニューは、「天然エビフライセット(大えび)」(1200円)。皿からはみ出る約30cmの有頭エビフライは、迫力満点の堂々とした姿。胴回りも太く、身はプリプリとして食べ応えも抜群だ。見た目と味で感動できる、ぜいたくなエビフライである。

「店を開くきっかけは、自分自身がエビ好きで、以前、大きなエビを食べておいしさに驚いたこと。天然ものの甘味や食感など、養殖とは違う魅力を多くの人に伝えたかった」と、店主の亀谷啓(あきら)さん。

頭部までしっかりと揚げて提供

大エビで使用するのは、養殖で多く出回っているブラックタイガーの天然原種シータイガー。漁獲量が少なく、市場ではあまり流通しないため、仕入れルートを探して開店に至ったという。また、平日のランチで人気なのが、価格的に手頃な「天然エビフライセット(中えび)」(900円)で、こちらは、オーストラリアタイガーを使用。大エビよりも6~7cm小ぶりながら、存在感はたっぷりだ。

調理では、頭部までしっかりと揚げて提供。テーブルには、食べ方の説明文を置き、“頭から尻尾まで食べられるエビフライ”を提案している。また、タルタルソースもこだわって開発。ピクルスの代わりにたくあんを採用し、あっさりした風味のエビフライを引き立てるソースに仕上げている。

メニューには、ハンバーグや唐揚げ、エビクリームコロッケなどもあり、エビフライとのセットや単品もOKと幅広いニーズに対応。中でも、エビの殻からだしを取り手間をかけて作るエビクリームコロッケは、身がゴロゴロ入った満足感ある一品。売り切れることも多く、女性に大人気のヒットメニューとなっている。

価格競争もシビアなランチ激戦区だが、「養殖にすればもっと安くできるが、天然にこだわるのがポリシー。券売機を導入して人件費を抑えるなどの努力で、ギリギリの価格で提供しています」と亀谷さん。店の周知とともに、日販100食を目指して頑張りたいと話す。

●店舗情報
「AB-Kitchen」 所在地=大阪府大阪市中央区安土町1-4-10/開業=2016年9月/営業時間=午前11時~午後8時(土曜、祝日は3時)※売り切れ次第終了。日曜定休/坪数・席数=25坪・30席/1日平均客数=70人/平均客単価=1100円

◇外食レストラン新聞の2017年4月3日号の記事を転載しました。