向新は、「泉州たまねぎサブレ」を10月1日から、大阪府南部を中心に展開する19の直営店舗「むか新」で販売している。
同社は、1892(明治25)年に泉佐野で創業した老舗和菓子店。「むらしぐれ」や「千石」などの郷土伝統菓子の製造販売のほか、空港や駅で販売され大阪土産として知名度の高い「元祖大阪みたらしだんご」も手掛ける。

6代目の向井新将社長は、「日持ちがしてかさばらず、比較的低価格帯でも数がたくさんある菓子にもニーズがある」とし、2年半前に社長に就任してから、これまでの生菓子やスポンジケーキ系に加え、クッキーやサブレなどのラインアップ強化方針を決定。

「ここにしかないもの」をコンセプトにリサーチを進め「射手矢農園からプレミアム泉州たまねぎの話を聞き、すぐに畑に行き、その場で引っこ抜いた新玉ネギを生で食べた。甘みが強くまるでフルーツだった」(同社長)とし商品化を決めた。

同社技術顧問でマイスターの資格を持つエルウィン・イエーセンベルガー氏と共同開発。香辛料など余計なものを入れず、素材の味が生きる同商品が完成した。

菓子を通じて、輸入品の増加や跡継ぎ問題で生産が減少する「泉州たまねぎ」の普及にも努めたいとする。こうした取り組みが地域の共感を呼び、店舗の利用者増加にもつながる。

現在は直営店のみの販売だが、材料の仕入れ体制が整えば「向新を広く知ってもらえるような面白い場所」(同社長)での販売を目指し卸売りも検討している。

同商品は1枚95円(税込み)、3枚(専用箱入り)305円(同)。

◇日本食糧新聞の2017年11月3日号の記事を転載しました。