上越市のソウルフード「サンドパン」は、JR南高田駅近くに本社工場を置く小竹製菓のロングセラー商品だ。同社は1日平均2000個を製造し、本社隣接の直売店ほか県内のスーパーやキヨスクなどで販売する。

小竹製菓の創業は1926年。現社長の祖父である初代小竹茂雄氏が干菓子専門の菓子店を開業。製パン部門の誕生は53年。学校給食が始まり、パン食が普及する中でサンドパンが生まれた。現在は3代目の孝雄社長と店長・広報を兼務する加洋子夫人が商品開発と改革の両輪で経営の安定を図り、販路開拓に取り組んでいる。

上杉謙信の城下町として発展してきた地域には贈り物の文化が根付き、婚礼の引き菓子にしっかりお金をかける文化があった。ウエディングケーキも月に何十件も注文があったが、大きな売上げの陰に無視できないロスもあった。

約11年前、夫妻は改革に乗り出した。仲人も結納の習慣も消えゆく中、婚礼菓子の製造中止と商品構成の大幅見直しを行った。原材料から包装材まで改良を繰り返し、納得のいく味を追求した。

小竹社長はこの改革がなければ、サンドパンに次ぐ期待の商品「笹団子パン」は生まれなかったという。

例えば子どもからお年寄りまで幅広い世代が購入するサンドパンは、無添加で香り高いパンと小竹製菓独自の味を決めるバタークリームのみ。材料がシンプルなだけに気を抜けない。夏冬の口どけ感を同じにするため、材料の融点を同じに保ち、四季にクリームの配合を少し変える。たっぷり30gのクリームを使って端まで均一に塗るという具合。

2015年の発売当時売れ行きがいま一つだった「笹団子パン」も、改良を重ねるうちに話題になり売上げが伸長。新潟県産米の米粉を使用したパンに程よい甘さのつぶあんが入った笹とよもぎの香りがする笹団子が丸々一個入った同品は、全国から買いに来る熱烈なファンも増えている。

今年、上野動物園で誕生したパンダの香香(シャンシャン)人気も追い風だ。創業100年までにあと7年。お客さまに愛される店の魅力とは何かを、突き詰めていきたいという。

◇日本食糧新聞の2017年11月10日号の記事を転載しました。