兵庫県神戸市在住のたべぷろ編集部員・田添マチ子です。いきなりですが、あなたは粉物はお好きですか? 神戸の代表的な粉物といえばお好み焼きです。神戸のお好み焼き屋さんに入るとどのお店にでも“ぼっかけ”があります。ぼっかけはお好み焼きに入れたり、焼きそばに入れることで何倍にもおいしくなります。でもそれだけではありません。何にでも使える神戸市民に長~く、そしてこれからも未来永劫?愛されるであろう“ぼっかけ”のご紹介です。

“ぼっかけ”とは牛筋とこんにゃくの煮込み

神戸長田で昔から親しまれてきた下町の味“ぼっかけ”。“ぼっかけ”とは牛筋とこんにゃくを醤油やみりんで甘辛~く煮込んだ料理です。牛筋といえば「臭い」「固い」と思われている方も多いのではないでしょうか。確かに「そのまま食べるのはちょっと…」な部分です。かつては使いようがなく、廃棄されていました。

しかし深刻な食糧不足となった戦後、それまで捨てていた牛筋を美味しく食べることはできないかと神戸市民は考えたのです。そしてその熱意が神戸市長田区で生み出される“ぼっかけ”を生み出したのです。

“ぼっかけ”は昔ながらの神戸市の飲食店に入ればどこでもあるほどメジャーな馴染みのある料理です。お好み焼き、うどん、カレーに入れて食べるのはもちろん、お酒の肴としても愛されています。

“ぼっかけ”の作り方

“ぼっかけ”の作り方はとっても簡単。下茹でを手間に思うかもしれませんが、このプロセスが肉の臭みを消してくれます。一度に大量に作っておけばいろんな料理に使えますよ。神戸では各家庭で作り置きがしてあるくらいです。

【用意するもの】
牛筋肉 300g
こんにゃく 1枚
醤油 大さじ4
みりん 大さじ4
砂糖 大さじ2
水 2カップ

【作り方】

  1. 牛筋は塊のまま一度下茹で、一口大に切り、さらに柔らかくなるまで1時間ほど下茹でを繰り返します。
  2. コンニャクを1センチほどの大きさに切り、下茹でします。
  3. 鍋に①②と水を入れて煮込みます。
  4. 沸騰したら調味料を入れて40分ほど煮込んだら出来上がり。

それでも作るのは手間!という方には神戸市のお肉コーナーやお好み焼きの粉が売っているコーナーをのぞいてみると、レトルトの“ぼっかけ”がありますよ。袋のまま湯煎で1分煮込むか、電子レンジで温めてもよし。本当にお手軽です。

“ぼっかけ”のおいしい食べ方

ぼっかけはお好み焼きや焼きそば、焼うどんに入れるのはとってもメジャーな食べ方です。でもそれ以外にもおいしい食べ方がありますよ。

ご飯に乗っけて食べる

とってもシンプルにしておいしい食べ方。ご飯に汁ごと乗せて食べます。甘辛い汁がご飯にしみこんでおいしいのです。疲れて帰ってきた夜ご飯に、温めてご飯に乗せるだけで“ぼっかけ丼”の完成です。繊維のあるコンニャクと牛筋のたんぱく質でお腹いっぱいになります。簡単に美味しい一品料理が出来上がりです。

おにぎりの具材としてもOK。ご飯の真ん中に具材だけギュッと詰め込んで握ります。この時は汁は入れないように気を付けて。お米が固まらずおにぎりにならなくなってしまいますから。

オムレツの具材にする

卵だけのオムレツじゃちょっと物足りない…という時に。レトルトの“ぼっかけ”をフライパンに出してそのまま炒めるように温めます。

十分に温まったら卵一個を溶いて流し入れます。少し箸先でかき混ぜて火を通します。半分に折って包んで出来上がり。また半熟のままオープンオムレツにしてご飯に乗せて食べたら栄養満点な料理に!甘辛い煮汁と卵の甘味が絶妙な美味しさ。

いろいろ使える“ぼっかけ”をあなたの食卓に

神戸のスーパーで“ぼっかけ”を置いていないところはないのですが、もしかしたら関西以外には“ぼっかけ”のレトルトはないのかもしれません。でも“ぼっかけ”は下茹での手間こそありますが、煮込むだけで簡単に作れます。ここでご紹介した料理以外にもいろいろ使えます。

“ぼっかけ”はあなたの料理のレパートリーを広げてくれることでしょう。あなたの食卓に“ぼっかけ”を加えてみませんか。