全国にびっくりドンキー332店(直営126店、FC206店)を展開するアレフは4月から、食物アレルギー対応商品「乳・小麦・卵を使わないハンバーグ」を全国311店舗で販売する。食物アレルギー対応ハンバーグは庄司大社長自らが商品化を決断し、14年3月から約2年半の歳月をかけて完成させた。

小麦粉のパン粉に替えて米粉を使ったパン粉を使用

「アレルギーを持つお客さまにもアレルギーのない方と同じように、家族や友人と一緒に楽しい食事の時間を過ごしていただきたいという思いがあった」と、企画開発から導入までを担当したメニュー開発チームの小澤友裕氏は明かす。

だが、食物アレルギーの原因食品のトップ3である鶏卵・牛乳・小麦を使わずに、びっくりドンキーオリジナルの高品質なハンバーグを開発することは、同社にとって大きなチャレンジだった。まず製造工場については、同社の北海道工場で食物アレルギー対応商品を生産することは難しいため、新たに食物アレルギー対応工場を稼働させる食品メーカーに製造を委託し、ラインの構築から一緒に取り組んだ。

また、代替の原材料選びについては、小麦粉のパン粉に替えて米粉を使ったパン粉を使用。米粉もコメの品種から選定し、柔らかい質感にこだわった。さらにおいしさを追求するため、最終的には素材の力を信じ、原料の牛肉・豚肉の徹底した温度管理を実施した。

商品開発以上に苦労したのが、オペレーションの確立。コンタミを防ぐため冷凍ハンバーグにしたことから、解凍という新たな工程が加わった。同社ではルール上、調理してから10分以内に提供しなければならないが、これについては電子レンジとガスコンロを組み合わせることで対応した。調理器具も専用のものを用意。一つの箱に調理器具をセットしておき、オーダーがきたらその箱を取り出して調理すればよい形にし、マニュアルも添えた。

数々のハードルを乗り越え、16年9月、関東直営店10店舗で実験導入を開始。アンケート調査を実施したところ、「低アレルゲンメニューはがっかりすることが多いが、とてもおいしかった」「アレルギーのある娘が皆と同じ木のお皿で食べられることをとても喜んでいた」など喜びの声が寄せられた。

好評を受け、昨年12月に関東直営33店舗と北海道直営17店舗の50店舗でも導入を始め、計60店舗とし、5日からはいよいよ全国展開に踏み切る。フードコートや一部店舗を除き、311店舗まで拡大する。

「びっくりドンキーに食物アレルギー対応ハンバーグがあることをより多くの方に知ってほしい。今後も原材料の仕入れからお客さまに提供するまでの各段階を常にモニタリングして安全性を確保し、お客さまの信頼を得ていきたい」と小澤氏。さらなる企業価値の向上へつなげていく。

詳細は「月刊食品工場長」4月号に掲載。

◇日本食糧新聞の2017年4月3日号の記事を転載しました。