東京急行電鉄が手掛ける高層複合施設「渋谷ヒカリエ」内で東急百貨店が運営する商業施設「ShinQs(シンクス)」は、9月15日までに日本初を含む14店のオープン・リニューアルを行った。開業から5周年を迎え、「FOOD INNOVATION・“進化系”フード」をテーマに6店の新ショップや限定企画を投入。流行に敏感な利用客に新たなモノ・コトを提案するクロスMDを強化していく。

今回のリニューアルでは、(1)定番フードの新製法による進化(2)懐かしフードなどのフォトジェニック化(3)定番フードのミニチュア化-の三つの切り口を訴求。つけにく麹屋の「塩レモン麹漬鶏と彩り野菜のジュレ茶漬け」(税込み864円)や、村上の「五穀米おはぎ」(同1350円)など、定番商品に新たな切り口を盛り込んだ。

産直野菜を使った健康ファストフード店で、日本初店舗となるT・HOT(POWER DINER22)の「ワンハンドバーガー」(同486円から)や、POTASTAのブーケ状に包んだ新感覚サンドイッチ(同501円から)などは、SNSでの写真投稿に映える彩りや楽しさを提供する。

T・HOT(POWER DINER22)の「ワンハンドバーガー」は、フォトジェニックなミニチュアフード

また、同店限定の弁当「SHIBUYA GOHAN」の展開もスタート。「ビューティコンシャス」など渋谷らしさ・ShinQsらしさをテーマに、「寝かせ玄米と日本のいいもの いろは」の「秋の豪華彩り弁当~4種の寝かせ玄米ごはん~」(同1280円)など、共通ロゴの弁当を各店ラインアップする。

宮本拓郎営業統括部長によると、これまでの利用客動向では、「お一人さまニーズ」や「出来たてをその場で、少しずつ食べたい」といった需要があった。昨年秋にはフードフロアを大きく改装し、「Hikari et Iro(ヒカリエトイロ)」「Neo Japan」「Hikarie OYATSU」の3テーマの下、25ショップを再編成した。イートスペースを増強したほか、メディアにも注目され、新規顧客の取り込みにも成功している。

渋谷ヒカリエは、渋谷の新たなランドマークとして2012年に開業した大型施設。「すべてをZakkaと捉え、新しいモノ・コトと出会い・発見する楽しさを発信」するスパークメントストアと位置付けられる。

商品カテゴリや分類にとらわれず、ファッション・ビューティー・フードの領域に特化。百貨店での食品は、1990年代までの儀礼ギフト中心の格式追求型から、2000年代以降のグルメ追求型へと変遷を遂げてきたが、同店は現在を「サード・ウエーブ・フード」(宮本部長)ととらえ、業態ミックスMDによる利用価値の高いフードフロアへ改装を経て展開してきた。

◇日本食糧新聞の2017年9月22日号の記事を転載しました。