石川県金沢市のお隣にある河北郡在住の北陸家庭料理研究家・大象みかです。石川県には、「加賀野菜」と認定されているものが多くあります。中でも「加賀れんこん」はでんぷん質が多く、食感がもちもちしています。その特徴を活かして、「加賀れんこんの団子汁」を家庭で作り、新たな食べ方を紹介します。

もちっとした食感が魅力の加賀れんこん

加賀野菜とは、主に金沢で生産されていて、藩政時代から現代まで、季節感溢れる野菜が引き継がれています。現在、加賀野菜として認定されている野菜は、加賀れんこんを含めて15品目あります。

加賀れんこんは地元の人達にも愛されていて、よく食卓に上ります。金沢市大樋町一帯(小坂地区)で作られていたことから、「小坂れんこん」とも呼ばれています。加賀れんこんは、節と節の間が短く、肉厚で粘りがあるのが特徴で、もちっとした食感が魅力です。

加賀れんこんの出荷時期は8月から始まり、12月にピークを迎え、5月中頃まで出荷されます。出荷の初めの頃はシャキシャキとした歯触りが楽しめます。秋から冬にかけては、もっちりとした食感に変わるなど、季節によって変化も楽しめる野菜です。

さて、加賀れんこんのでんぷん質を活かして、団子汁を作ってみようと思い立ちました。実は加賀れんこんは、他県のれんこんより繊維質が緻密で、団子汁に向いているからです。「味噌汁とれんこんの相性はどうなのか?」も知りたくなりました。

加賀れんこんの団子汁

<材料 2人前>
・加賀れんこん 200g前後のもの
・ねぎ 適量
・だし汁 400cc
・塩 少々
・片栗粉 大さじ1
・味噌 大さじ1

その他に今回は、新たな食べ方をするために、以下のものも用意しました。
・生姜
・人参
・冷凍コーン
・グリーンピースの缶詰

<作り方>
1. れんこんを洗い、皮をむいてからすりおろします。おろし金を使いますが、かなり力がいります。おろしたれんこんは軽く絞って水気を切り、絞り汁を大さじ1くらい、温めただし汁に加えます。絞り汁を加えることにより、れんこんの旨味がだし汁に入り、とろみもつきます。

2. おろしたれんこんに、塩と片栗粉を入れて練ります。その後、真ん中をくぼませた小さな団子状にします。崩れやすいので優しく丸めるようにします。

3. だし汁を沸騰させて、団子状にしたれんこんを5分ほど煮ます。

4. れんこんが硬くなり、透明感が出てきたら味噌を入れます。
れんこんは崩れやすいので、あまり菜箸で触らない方が良いですね。

5. ねぎを小口切りにして、お椀に盛りつけた団子汁に散らしたら出来上がりです。

まずは普通に団子汁を味わってみよう!

一般的な味わい方として、加賀れんこんの団子汁にねぎを散らして味わってみます。団子を一口食べると、最初はれんこんのサクサク感が楽しめて、後でもっちりとした食感に変わっていきます。味噌仕立てのお雑煮にも似ていますね。

味噌汁の中にれんこんの絞り汁も入っているので、味噌の味がまろやかになりました。とろみがついていて、体がポカポカ温まりそうです。

ねぎのシャキシャキ感と、温かく優しいとろみのある汁、お餅のような弾力性のある団子、この3つを交互に味わいながら食べることができる料理です。朝食に食べると一日の活力が湧きそうですね。また、夕食に食べると、ホッとして一日の疲れが取れそうです。

れんこんの団子汁の一味違う食べ方

少しアレンジを加えて、おろし生姜を乗せて食べてみました。生姜を団子に添えることによって、爽やかな酸味が加わります。味噌汁に生姜の味が加わると、飲み口もさっぱりとした感じになりました。

団子汁に七味唐辛子をふってみました。ピリッとした辛さで、大人向けの団子汁として味わうことができます。味噌と七味唐辛子の相性も良いですね。

さらに彩りも考えて、花型に切った人参、冷凍コーン、グリーンピースを軟らかく煮て、団子汁に加えてみました。華やかさもあり、おもてなし料理の一品にもなりそうです。人参の甘さ、コーンのプチッとした食感、グリーンピースのホックリした味わいが楽しめますね。

加賀れんこんは、ほとんど一年を通して店頭に並んでいるので、手に入れやすい野菜です。加賀野菜を取り扱うネットショップでも購入できます。

食物繊維、ビタミンC、カリウム、鉄なども含むので、栄養面でもお勧めしたい野菜ですね。体がホッと癒されるような優しい団子汁を、ぜひ、家庭でも作ってみましょう。