ギョウザをつまみにアルコールを楽しむギョウザ酒場がブームだ。万人が好む大衆食の代表格であるギョウザゆえ、万人に受け入れられる間口の広さでヒットした反面、ここ数年は個性化が打ち出しにくくなっている。その中でユニークな形状のギョウザをアピールして若い女性を中心に絶大な支持を獲得しているのが東京・新宿の「一口餃子酒場BLG」だ。

6~8個のギョウザが1枚の板状に

同店のギョウザが、ひと口ギョウザのメッカ大阪や福岡のものと大きく異なるのが6~8個のギョウザが1枚の板状になった状態で提供される点だ。

「ギョウザを焼く工程で片栗粉を溶いた蒸らし水を大量に注ぎ入れることで1枚板にくっついた状態に焼き上げます」と中島直也店長は説明するが、ギョウザがちょうど焼き上がるタイミングで板状に固まるところにノウハウが詰まっている。

この羽根のパリパリとした食感と餡(あん)のジューシーなうま味の組み合わせでアルコールの進むつまみとしてのギョウザとなっている。

餡は国産豚のひき肉がベースだが、唐辛子や麹など20種類以上の調味料を配合してピリ辛に仕上げた自家製醤を加えてビールに合う味を追求したオリジナリティーの高い味わいだ。

ギョウザの焼成時に水溶き片栗粉をたっぷり注いで蒸し上げる。焼き上がった時に1枚の板状になる

豚肉を大豆ミートに置き換えた「ソイミート餃子」も

ギョウザのラインアップは「BLG餃子」など焼6種、「THEパクチー餃子」など、ゆで3種、「トマト&クリームチーズ」など揚げ2種で、価格は390~590円。

これに本日のお薦め数種が加わってギョウザ専門店ならではのバリエーションを打ち出しており、平日ディナータイムの来店客の7割が20~30代の女性、週末は買い物ついでに訪れるカップルやファミリーで連日にぎわっている。

客1組あたりのギョウザ注文数は4品におよび、主力商品のBLG餃子だけでも1日70皿を売る。

店名の「BLG」はビア・ラブズ・ギョウザの略で、コンセプト通り常時6種類の生ビールを揃えている点も見逃せない。また、女性客が多いことからフルーツの果肉を入れたオリジナルサワーも人気だ。

BLGの前身は同じひと口ギョウザを看板商品にした「一口餃子専門店 赤坂ちびすけ」。現在も都内を中心に5店を展開しているが、同店のみ売上げが伸び悩んでいたことで業態転換を決意。ギョウザ1個の餡を8gから13gに増量する一方で客単価を3500円から2000円台に引き下げた結果、客数が2倍近くに伸張した。

ギョウザについては新商品開発にも積極的で17年6月から投入したのは「ソイミート餃子」(8個・440円)だ。餡に使用する豚肉を大豆ミートに置き換えたギョウザで、カロリー約20%OFFを実現。「ソイミート餃子を売り出して、ベジタリアンやハラルといった訪日外国人観光客の集客を増やしていきたい」と中島店長はインバウンド客の開拓に意気込む。

新宿駅西口の駅前繁華街ビルの地下に店を構える

 

<店舗情報>
「一口餃子酒場BLG」
経営=SOBO
店舗所在地=東京都新宿区西新宿1-15-13 西新宿島田ビル地下1階
開業=2015年3月リニューアル
営業時間=昼:午前11時30分~午後2時30分(L02時)、土・日・祝 正午~3時30分(LO3時)、夜:午後5時30分~11時(LO10時30分)、金・土 午後5時30分~11時30分(LO11時)、無休
坪数・席数=15坪・30席
1日平均客数=100人
平均客単価=昼800円、夜2500円

◇外食レストラン新聞の2017年9月4日号の記事を転載しました。