石川県金沢市のお隣にある河北郡在住の北陸家庭料理研究家・大象みかです。金沢ではお祭りなどに押し寿司を家庭で作ります。紺海苔、桜えびなどを入れるのが特徴です。今回は、牛乳パックの空き箱を使って、手軽に押し寿司を作り、いろいろな醤油を使った食べ方を紹介します。

秋祭りの時などに押し寿司を作ります

石川県では、秋祭りの時などに、家庭で押し寿司を作ります。それぞれの家庭の味があり、魚は、しめ鯖や鮭を使ったり、酢でしめたイワシやアジを使うこともあります。たくさん作って、親戚や知人にお裾分けすることもあります。

金沢では、20センチ四方以上の、押し寿司の押し枠を持っている家庭が多いです。夜に押し寿司を作り、一晩重しを乗せて、次の日に食べるのが一般的です。しかし、木枠を持っていない人でも手軽に作れる方法はないかと考えました。

そこで今回使ってみたのが、1リットルの牛乳パックなどの空き箱です。これだと手軽に手に入りますし、2人分くらいの押し寿司を作るのにピッタリなサイズです。

金沢と小浜のコラボ料理!

それと、今回は魚は小鯛の笹漬け(酢漬け)を使いました。実は小鯛の笹漬けは、お隣の福井県小浜市の名産品です。今回は、金沢と小浜のコラボ料理でもあります!

我が家は、父が福井県生まれで金沢育ち、母が金沢生まれで金沢育ちなので、こういう料理もいいかなと思って作ってみました。つまり、両親のふるさとの味のコラボ料理です。

【材料・2人前】
・炊いた米 1.5合分
・市販の寿司酢 大さじ3と1/3
・小鯛の笹漬け 4枚入り(それぞれを半分に切って、8枚にします)
・紺海苔 3g程度
・桜えび 少々
・生姜 10g
・木の芽 少々(山椒の葉を使いました)
・薄板

【作り方】
1.ご飯に寿司酢をかけて、寿司飯を作ります。今回は簡単に作るために、市販の寿司酢を使いました。温かいご飯を冷ましておきます。

2.紺海苔を10分ほど水に浸して戻します。紺海苔は天草に着色したもので、押し寿司に彩りを添えてくれます。

3.生姜を千切りにして、針生姜にします。10分ほど水にさらして、絞っておきましょう。小鯛の笹漬け4枚を半分に切って、8枚にします。

4.牛乳パックの空き箱にラップを敷いて、その上に、木の芽、鯛、生姜の順に乗せていきます。後でひっくり返すので、底の部分が上に来ることを考えながら材料を並べていきます。今回は、一列に3個お寿司ができるように、並べました。

5.その上にご飯を乗せます。隅々まで行き渡るように、丁寧に詰めてください。ご飯を十分詰めたら、その上に紺海苔、桜えびを乗せます。紺海苔と桜えびの面は、お寿司の裏側になります。

6.薄板をハサミで切って、牛乳パックに敷きます。これで1段目が出来上がりました。また、同じように具材とご飯を入れて、2段目も詰めていきます。

7.最後に薄板を乗せて、出来上がりです。牛乳パックの空き箱の一面で、蓋をしましょう。水の入った500ミリリットルのペットボトルを重しにして、一晩涼しい所で寝かせておきます。

金沢の押し寿司の食べ方を工夫しよう!

さて、押し寿司が上手くできているか、開けてみるまでドキドキします。翌日、三等分に切り分け、薄板を外して食べます。

まずは、金沢市大野町で作られている濃口醤油をつけて、お寿司を味わってみます。金沢は大野町の醤油が歴史があって有名です。我が家で普段から使っている醤油ですが、寿司飯や鯛の笹漬けにコクを与えてくれて、どんどん箸が進みます。

山椒の葉の香りがふわっと広がり、鯛の上品な甘さと上手く調和しています。裏側の紺海苔と桜えびは、青と赤が色鮮やかで目でも楽しむことができます。

我が家は父が減塩しているため、だし醤油も使っています。だし汁と濃口醤油、減塩醤油を4:1:1の割合にして、醤油を薄めています。

だし醤油をつけて押し寿司を味わってみると、だしの風味がきいていて、まろやかな味わいが楽しめます。煮干し・鰹節・昆布のだしの味が加わると、酢飯がやさしい味に変化しました。子どもも食べやすそうな味ですね。

次に、わさび醤油で押し寿司を食べてみました。ピリッとしてお酒のおつまみにもなりそうな味に変化しました。わさびの辛みは、あっさりとした鯛に程よいアクセントをつけてくれます。写真の右から、濃口醤油、だし醤油、わさび醤油を並べています。

牛乳パックで作る押し寿司は、少人数の家庭にも向いています。お祭りの時期以外でも、食べたい時にサッと作ることができます。

鯛はクセがなく、押し寿司に合う魚です。山椒や生姜で香りをつけて、上品な味を楽しめます。みなさんも、気軽に金沢の押し寿司を作ってみましょう。