近年、大阪で増加中なのがサンドイッチ専門店。その多くはテークアウトの店だが、デパートでのイートインというスタイルでオープンしたのが「あべのカツサンドパーラーロマン亭」である。デパ地下で買い物するミセスを呼び込みファンを増やす、“ここならでは”の商品を取材した。

大正ロマン風のカツサンドパーラー

昨年、あべのハルカス近鉄本店の食品売り場に、“カツサンドパーラー”として登場した同店。大正ロマン風の落ち着いた店内で、サンドイッチと喫茶が楽しめる。

運営は、農場生産から飲食店経営まで手掛ける、食肉卸の岡山フードサービス。直営飲食店“ロマン亭”の新業態としてデパートへ初進出した。開店にあたりこだわったのは、「食肉卸ならではのサンドイッチ」である。

看板メニューの「ヘレカツサンド」(843円)は、10日以上氷温熟成し、肉本来のうま味を引き出した国産豚肉を使用。肉に合わせて、バッター液やパン粉を検討し、オリジナルのデミグラスソースを店内で製造。パンもカツとの相性を考えて選び、肉のうま味を十分に味わってもらえるカツサンドを追求したとか。

写真手前から、美しい断面にブラックペッパーが映える「豚ヘレのシャトーブリアンサンド」と「タマゴサンド」。各サンドには、徳之島産長命草を使った自家製ドリンク付き

評判呼ぶミルフィーユ状のスタイル

また、思わぬ人気者となったのが、手間と工夫が感じられる「タマゴサンド」(681円)。ゆで卵をベースに軟らかく調味したフィリングは、食べやすさと食べ応えを考えて、8mmの薄さのパン5枚でミルフィーユ状にサンド。外側は軽く焼き上げ、香ばしさとふんわり感が同時に楽しめる。

隠れた名物として注目されるとともに、「カツとタマゴのどちらも食べたい」という要望が増加。「ヘレカツサラダサンド&タマゴサンド」(841円)などのハーフ&ハーフも用意したところ、現在では、同メニューが一番人気になっている。

今年の3月に登場したのが、「豚ヘレのシャトーブリアンサンド」。1490円というプレミアムな価格ながら、1日に10食ほどが売れる注目のメニューである。

ヘレ(ヒレ肉)の一番軟らかい希少な部分を、棒状のままでカツにして輪切りに。デミグラスソースやレモンが別添えされており、自分で味をカスタマイズできる楽しみもある。同店ではワインなども用意しており、プチぜいたくをしたいときにもマッチするメニューである。

デパ地下ミセスの常連客増加中

利用客の主体はミセス層で、スタッフに親しみを持ってくれる常連客も多い。「厳しい目を持つデパートのお客さまに納得していただき、肉の本当のおいしさを広めるパイロットショップとしても頑張りたい」と大西隆史店長。永く愛される店づくりとともに、テークアウト(ヘレカツサンド790円)の利用ものばしていきたいと話す。

◆店舗情報
「あべのカツサンドパーラーロマン亭」
経営=岡山フードサービス
店舗所在地=大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス近鉄本店ウイング館地下2階
開業=2016年7月
営業時間=午前10時~午後8時30分、休みは百貨店に準ずる
坪数・席数=14坪・28席
1日平均客数(テークアウト利用を含む)=平日300人、週末450人
平均客単価=1000円

◇外食レストラン新聞の2017年9月4日号の記事を転載しました。