ここはインド・ラジェスタンの街、チットールガル。この地には、見る者すべてを圧倒する世界遺産・チットールガル砦がそびえ立つ。偉大な砦と街のニオイと共に、なぜだかカレーよりも印象に残る2つの飲み物がありました。1度目は自転車で、2度目は車に揺られること約300Km。この地で飲んだラッシーとライムジュースをレシピと共にご紹介します。

塩入りラッシーがあることを知った、初めてのチットールガル

初めてチットールガルに着いたのは、夕暮れ時でした。前日宿泊した街から約120kmの道のりです。こうしてたどり着いた街では、おいしいカレーにありつけることもあれば、ちょっと変わった料理を食べることも。

世界遺産 チットールガル砦からの風景

僕はラッシーが大好きでよく飲んでいたのに、この街ときたらおいしいラッシーにありつけないのです。「これはラッシーじゃない!」と喚く僕に、「何を言っている、これはラッシーだ!」と言い張る店主。

甘いラッシーしか飲んだことがなかった僕は腑に落ちません。なぜなら、このラッシーには塩が入っていたのです。しょっぱいラッシーを理解できなかった僕は、お店を飛び出してしまいました。
それから数年後、再び訪れたこの街で飲んだ飲み物は…。

甘い飲み物やしょっぱい飲み物、ドリンクスタンド

しょっぱいライムジュースにこめられた友人の優しさ

友人家族に連れられて、ソルトラッシーの思い出と共にチットールガルに戻ってきたのは数年後のことでした。

「インドでは、暑い時は何もしないで昼寝をするんだよ」

照りつける強い日差しの下、半分冗談・半分本気でインドの友人はこう言うのです。なんとも羨ましい話ですが、続いて、「これ飲んだ方がいい、身体にいいんだよ」と買ってくれたライムジュースにはブラックソルトが使われていたのです。広いチットールガル砦を炎天下に歩くのは大変だからと、僕の体を気遣ってくれての一杯でした。

偶然にも1つの街で飲んだ2つのしょっぱい飲み物は、腹立たしかった思い出と友人の優しさにホッとした味でした。きっと、2つの感情を抱いたことが、僕が強くこの街に惹かれる原因なのかもしれません。

この街にまた戻って来ることができたら、ラッシーを飲んでみよう。「ソルトラッシーもいいね、日本では飲んだことないよ」と言いながら。

旅の中にある一皿、旅の中にある一杯が僕は大好きです。

思い出のレシピ、しょっぱい2つの飲み物

決め手は塩、ブラックソルトと天然塩

ソルトラッシー

<材料>
プレーンヨーグルト 200cc
水 100cc
塩 適量

<作り方>

  1. プレーンヨーグルトと水をホイッパーなどでよく撹拌(かくはん)する。
  2. 塩を加え、完成。

ライムジュース

<材料>
炭酸水 1本
ライム(なければレモン) 適量
ブラックソルト 適量

<作り方>

  1. グラスにブラックソルトをひとつまみ入れ、ライム果汁を絞る。
  2. 炭酸水を注ぐ。

炭酸水を注ぐ時のポイントは、グラスの縁からゆっくりと注ぐことです。勢いよく注ぐと炭酸が飛んでしまいます。市販の炭酸飲料でも同じなので覚えておいてくださいね。

これからも時々、インドで口にしたカレー粉を使わないレシピもご紹介していきますね。お楽しみに。