香水の香りをテーマに女性の成長を描く映画『魔女の香水』が6月16日より公開されています。“魔女さんと呼ばれる、白髪でミステリアスな香水屋の店主・白石弥生役を演じた黒木瞳さんに、作品の見どころや香水について、さらに果物や野菜にまつわる話も伺いました。

自分には無限の力があることを感じてほしい

この作品は、香りの力によって、人々の中に眠っている可能性や愛する人への思いなどを伝え導く物語です。私が演じたのは、香水店を営む白石弥生。香水の力を信じ、愛も孤独も経験した女性です。香りと言葉で人々の背中を押していく女性を演じながら、彼女のような存在が身近にいる人はいいなと思いましたね。私にとっても弥生のような存在がいました。いままで出会ってきた人たちに、その時々でいろいろなことを教わり、言葉の力でメンタルも強くしてもらった気がしています。

物語には9つの香水が登場して、それぞれに「伝説をつくれ」「ピンチはチャンス」などのメッセージが込められています。撮影時は未完成だったのですが、これらの香水は実際に販売されるんです。どんな香りになったのか楽しみですし、その日の心境に合わせて、身にまとう香りやメッセージを変えてみたいと思っています。

映画の中の香水店にはヴィンテージの香水などを扱うお店の方が本物を飾ってくれたりして、とてもぜいたくな撮影現場でした。この作品を通して、改めて香水の力を知った気がしています。香りは自分を表現できるセクシーなアイテムでありながら、自分の持っているものが研ぎ澄まされたり、自分自身が変わっていけたり。そうしたことを、香水を身にまとって体感してもらえたらと思います。香水は太ももにつけると、ふわっと香りが広がるってご存じですか? 割愛された台詞に「太ももに香水をさりげなくつける」とあったんです。私も初めて知りました(笑)。

この作品をご覧になった方が人生に線を引くのではなく、自分には無限の力があるということを感じていただき、笑顔になってもらえたらうれしいですね。

黒木瞳さんの写真

野菜から食べるように心がけています!

物語の中で鍵を握るのが、サフランとカカオの香りです。サフランで思い出すのは、親戚の家に咲いていたサフランの葉を炊飯器に入れて、サフランライスをつくったことですね。カカオといえばチョコレートですが、実は甘いものは苦手なんです。だから、チョコレートを食べたい時はカカオ70%以上のものを選ぶようにしています。カカオは身体や脳にもいいと言われていますからね。

日頃の食生活では、血糖値を上げないためにも、野菜から食べるように心がけています。「こうしなきゃいけない」と決めてしまうと大変なので、野菜料理があれば、なるべく先にいただくという感じです。麺から食べたい時もありますから(笑)。

香りといえば、果物。生まれ育った福岡には、あちこちに果実の木や畑があったので、「買って食べる」という感覚はあまりないんです。買うのは、福岡のいちご「あまおう」くらいかな。ただ、故郷にはいちご農園もたくさんあるので、帰省すると知り合いの畑に行って食べ放題なんですよ。ぶとう畑もあるので、昔から紫色の小粒のぶどうが好きですね。大人になってシャインマスカットのおいしさも知ったのですが、それはちょっとぜいたくかなって(笑)。

子どもの頃は、秋になると柿の木に登って、柿を採ったりもしていました。地元で採れる元山(がんざん)というかたい柿が大好きだったんです。でも、何年かに一度、渋柿に当たることがあって、その時の悲しさといったら。本当に渋い顔になるんですよ(苦笑)

黒木さん流オニオンスープの作り方

料理は好きで、先日ラジオ出演した時には筑前煮をつくって持って行きました。煮物は味が濃くなってしまうと元も子もないので、100回くらい味見をします。とくにお正月につくる筑前煮は保存食として数日かけて食べるので、なるべく薄味にして、味見を何度も繰り返しながら濃くならないように気をつけています。

美肌や健康を保つために必ず食べているものはないのですが、例えばパクチーがいいという情報を聞いたら、その料理をつくってみたり。旬のものには、その時々に応じた栄養や効果があるので、季節の野菜を使った料理はよくつくりますね。いまハマっているのは、ロールキャベツとオニオンスープ。新たまねぎとキャベツがおいしい時期ですからね。

我が家のオニオンスープは、まず、鍋に新たまねぎとブイヨンを入れて30分ほどゆでるんです。やわらかくなった新たまねぎをフードプロセッサーに入れてペースト状にして、再び鍋に戻して少し煮れば、オニオンスープの完成です。塩とこしょうは、お好みで。簡単ですが、本当においしいんですよ。あまりにもおいしかったので、これをオニオングラタンスープにアレンジしようと、スープの上に小さく切った薄いパンとスライスチーズをのせて、電子レンジで数分温めてオニオングラタンスープ風もつくりました。

夏になると、実家からたくさん届くのが甘~いミニトマト。ヘタを取り、鍋いっぱいに入れてブイヨンだけで煮るとポモドーロ(トマトソース)ができるんです。そのままパスタソースにしたり、たまねぎとひき肉を加えてミートソースをつくったり。夏のトマトはおいしいですし、本当に重宝しますよね。

〈プロフィル〉
くろき・ひとみ 宝塚歌劇団入団。入団2年目で月組娘役トップとなる。映画『化身』(1986)で日本アカデミー賞新人俳優賞、『失楽園』(1997)では第21回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞、『破線のマリス』(2000)では日本映画評論家大賞女優賞を受賞。近年は映画監督として4作品を手がけ、舞台演出などエンターテインメントの世界で幅広く活躍。

※ヘアメイク:在間亜希子(MARVEE) スタイリスト:大迫靖秀
白のセットアップ(PUROTATTO/サン・フレールTEL03-3265-0251)、ピアス(VENDOME AOYAMA ヴァンドーム青山/ヴァンドーム青山本店TEL03-3409-2355)、ネックレス(ケンゴ クマ プラス マユ/ヴァンドームヤマダ/ヴァンドームヤマダTEL03-3470-4061)

(C)2023映画『魔女の香水』製作委員会

映画『魔女の香水』6月16日全国公開
香水の香りが女性を輝かせ、成長へと導く物語。夢に挫折した若林恵麻(桜井日奈子)が「魔女さん」と呼ばれる香水屋の店主・白石弥生(黒木瞳)と出会い、魔女さんの香水と言葉によって突き動かされ人生を切り開いていく爽快なシンデレラストーリー。

[キャスト] 黒木瞳 桜井日奈子 平岡祐太 水沢エレナ 小出恵介 落合モトキ 川崎鷹也 梅宮万紗子 宮尾俊太郎 小西真奈美
[監督・脚本] 宮武由衣

◇◇百菜元気新聞の2023年6月1日号の記事を転載しました。