広島県東広島市在住のたべぷろ編集部員・椛山瑛代です。夫の転勤で広島に来て早12年。海の幸と山の幸に恵まれた広島暮らしを楽しんでいます。知ると訪れたくなる、そんな広島の魅力をお伝えしていきます。
「せんじがら」は広島では、スーパーやコンビニ、高速のサービスエリアでも手軽に買える珍味です。広島に住んで10年以上になる私。「よく見かけるけど、いったいどんな食べ物なのだろう」と気になりつつ、手を伸ばすことなく月日が流れています。「広島のソウルフード!」とまでいわれるせんじがら。今回、勇気をもって食してみたいと思います。

「せんじがら」は豚のホルモンを揚げた珍味

せんじがらとは、豚のホルモンを揚げた珍味のことです。広島では「せんじ肉」「せんじ揚げ」と呼ばれることも。主に使われるのは豚の胃袋(ガツ)と呼ばれる部位だそう。湯引きした豚の胃袋を、じっくり油で20~30分揚げて、カリカリにしたものに塩、調味料で味をつけた物です。

せんじがらは、昭和20年代から30年代に広島市西区の食堂やお肉屋さんで作られたのが始まりといわれています。もともとは脂を抽出する時に出る副産物だったようです。本来なら捨ててしまっていた物が、ビールや焼酎に合うと珍味として食されるようになったのだとか。そのままお酒のあてとして食べることが多いですが、炒め物や煮物に使う食べ方もあるそうです。

いざ実食!せんじがら

「噛めば噛むほど味が出る」といわれるせんじがら。まずはそのままで食べてみました。
カリカリに揚げられているので、歯ごたえ十分。ゴムを噛んでいるかのような弾力でした。うわさ通り食べ始めは、味がない感じでしたが、やはり噛めば噛むほど濃厚な味がしてきました。少し野性味のある味なので、人によって好き嫌いがあるかもしれません。

次に少し手を加えて、マヨネーズをかけてオーブンで焼いてみました。オーブンで焼き始めると、せんじがらから大量の油が!これだけカリカリになっていても、まだ油があることに驚きました。温めたせんじがらは、食感が柔らかくなり、食べやすくなりました。マヨネーズとの相性がよく、これはやみつきになる味。ビールによく合います!個人的には絶対こちらの方が食べやすくてお薦めです。

楽しみ方いろいろ。せんじがらアレンジ

せんじがらは料理に使われることもあるようです。比較的ポピュラーなのが「肉じゃが」。昔は食べたという話をよく聞きました。他には「もつ煮込み」などもあるようです。せっかくなので料理にも挑戦してみました。挑戦したのは「肉じゃが」。30分ほど茹でたせんじがらを肉の代わりに使用しました。しっかり煮込まれ、柔らかくなったせんじがらは、まるでしっかり煮込まれたイカの煮物のような食感になりました。

煮込んだせんじがらは、好き嫌いがあるかもしれません。ただ、せんじがらの旨みが凝縮された煮汁は、絶品でした。いつも作る肉じゃがよりも、深みのある味わいになり、じゃがいもは本当に絶品でした。これは今後のレパートリーになること間違いなしです。

広島のソウルフードともいわれる、せんじがら。今回紹介したオーソドックスな塩味以外の味も販売されています。スパイシーな物、豚肉以外のとり皮や砂ずりなどレパートリーもいろいろあり、ネット通販でも取り寄せができます。自分で作ることもできるので、せんじがらが気になる!という人はぜひ挑戦してみてください。