「海里」は、店主の「人と同じことをしたくない」という性格から誕生するオリジナル創作メニューが光る店。油揚げにビーフシチューを入れて天ぷらにした「ビーフシチューの天ぷら」も同店の自慢の一品だ。

「カレールウを入れた油揚げの天ぷらを素うどんにのせて、油揚げを崩すと中からカレールウが出てきてカレーうどんになるというのを考案し、ランチで提供していました。そこから発展させ、カレーよりもビーフシチューの方がインパクトがあると考えた末、『ビーフシチューの天ぷら』として単品でメニューに載せました」と若林勇店主。

もともと洋食出身の店主にとってビーフシチューはお手のものだが、「ビーフシチューの材料費を考えると、価格が1皿1800円以上になる。洋食屋なら通用しますが、居酒屋ではちょっと厳しいですよね」。

そこで、価格的にも、お酒にも合う一品として成立させたのが同メニュー。その狙い通り、来店客のほとんどが注文するという。「脇役」どころか、同店の名物メニューになっている。

ビーフシチューはそのままでは、もちろん天ぷらにはならない。「油揚げに入れる」という発想がカギだ。天ぷらの衣を付けて、ビーフシチューが温まる程度にからりと揚げる。

●店舗情報
「海里(みさと)」
所在地=東京都北区赤羽1-41-16

◇外食レストラン新聞の2021年7月5日号の記事を転載しました。