たらこパスタ専門店やミートソースパスタ専門店など、ソースの専門性を高めたパスタ店が近年急増している。そうしたトレンドをさらに加速させるように登場したのが、クリームソースに特化した東京・代々木上原の「白系スパゲッティ」だ。クリーム系パスタの代表格である「カルボナーラ」と、完全オリジナルなチーズパスタ「チンクエフロマージュ」の二本勝負で注目を集めている。

トッピングで楽しみ方は多彩

「カルボナーラ」と「チンクエフロマージュ」は、愛知・名古屋の人気イタリアン「クォーコ・ディ・マーレ」の高木雅規シェフが監修したもの。日本各地のカルボナーラを食べ歩いたオーナーがほれ込んだことから、コラボレーションが始まったそうだ。

「最初にオファーしたときは、カルボナーラは再現性が難しいと断られたのですが、オーナーが何年も通いつめてようやく実現したんです」と、広報担当の中野勝太さんは苦労を語る。

カルボナーラ 1480円(税込み)

カルボナーラは生クリーム濃度の高い芳醇なコクとベーコンのうま味のバランスが絶妙。まさにリストランテ品質の濃厚さだ。また同店オリジナルのパスタ「チンクエフロマージュ」とは、5種類のチーズを意味する通り、カマンベール、ゴーダ、ラクレット、パルメザン、クリームチーズを配合した、チーズ好きにはたまらない一品。ゆっくり食べているとチーズが固まってきてしまうほどのチーズ比率で、芳醇なコク深さを堪能できる。

チンクエフロマージュ 1480円(税込み)

2品のソースはセントラルキッチンで仕込み、店舗では注文を受けたらフライパンで温めてパスタを絡めるだけのシンプルオペレーション。6席ながらワンオペでも提供時間8分をキープできるよう考え抜かれている。

パスタはゆで時間9分の乾麺を、あえて6分40秒に設定して硬めのアルデンテにゆで上げる。これが濃厚クリームソースでも最後までもたれることなく食べ切れるすっきり感のポイント。皿に盛り付けた後にイタリアチーズの王様とも称されるパルミジャーノ・レッジャーノをたっぷり削り、完成だ。

注文方法から味変や締めの食べ方などを大きく紹介して、多様な楽しみ方を提案する 

個性的なのが、実に9種ものバリエーション豊かなトッピングだ。「初来店のお客さまは、全種類を少しずつ食べてみる方がほとんど。ただ常連客のお客さまになると刻み海苔一択の方が半数以上ですね」と中野さん。

味変を楽しむトッピングは、左からフライドオニオン、刻み海苔、フライドガーリック、ドライ青唐辛子、七味唐辛子、スモーク、ナツメグ、カレー粉、ブラックペッパー

閑静な住宅街という立地ながら、昼時はウエイティングができる人気ぶりで、来店客の6割を男性が占める。またテイクアウトやデリバリーの需要も高く、売上げの5割に及んでいる。

「6月からは高木シェフ監修の新メニュー『明太クリームスパゲッティ』を提供開始しました。また通信販売も開始しています。店舗、デリバリー、通販の三本柱で売上げを最大化できるブランドに育てていきたい」と中野さんは展望を語る。

木の温もりとタイルを組み合わせたカフェ風のデザインで女性客も入りやすい。店内はカウンター席のみとアットホームな雰囲気だ。平時では、夜におつまみとアルコールも提供し、居酒屋利用も可能

●店舗情報
「白系スパゲッティ 代々木上原店」
経営=K2W&Co/店舗所在地=東京都渋谷区上原3-23-3/開業=2020年7月/坪数・席数=3坪・6席/営業時間=11時30分~15時、16時~20時(LO19時)※変更になる場合あり。不定休/平均客単価=1500円

◇外食レストラン新聞の2021年6月7日号の記事を転載しました。