簡単な減塩のコツは? 調味料を上手に使いましょう【毎月17日は、減塩の日】
みなさん、毎月17日が「減塩の日」だってご存じですか? 「高血圧治療には食塩制限が大事」と知ってもらうため、5月17日の「世界高血圧デー」に合わせて日本高血圧学会が決めた記念日です。今年3月に日本記念日協会から認定されたばかりなんですよ。
今回はたべぷろ編集部が、親世代や祖父母世代はもとより、お子さんの将来の健康も見据えた減塩の大切さとコツをご紹介します!
味が物足りなくならない「トマみそ」、秘密はトマトケチャップ
日本高血圧学会が推奨する食塩摂取量は1日6g未満なのですが、なんと日本人成人の1日平均食塩摂取量(2012年)は男性11.3g、女性9.6g! 成人男性は、推奨量のほぼ倍を摂取しているのですね。
多くのオトナが必要量をはるかに超える食塩を摂っているのも驚きですが、実は成人してからの高血圧、循環器病を防ぐためには子どものころから食塩制限しておくことが望ましいのだそうです。
家庭で減塩に取り組むとなると、まず思い浮かぶのが「塩・醤油・味噌など調味料の量を減らす」ですよね。とはいえ、調味料の量を減らしてしまうと物足りない感が漂うもの。味がボケたから-と醤油を後掛けし、「減塩した意味ないじゃん」という自己嫌悪に陥った方も少なくないかもしれません。この調味料の量を減らした際の物足りなさを補う“救世主”的存在になりそうなのが、どうやらトマト、特にトマトケチャップのようなんです!
生活者の意識・実態を調査する「トレンド総研」(東京都渋谷区)が、「食べるラー油」「塩麹」などに続く調味料として今年イチオシするのが「トマみそ」。名前通りトマトと味噌を合わせた調味料で、お手軽バージョンだと味噌とどのお宅の冷蔵庫にもきっとあるトマトケチャップを混ぜるだけ!です。野菜やおつまみにつけて食べるほか、和食の味付けにも使える-と和食料理店や居酒屋のメニューにも登場しているんですよ。
ミスマッチにも思われるトマトと味噌ですが、実は意外に好相性といいます。しかもトマトケチャップにはうま味成分・グルタミン酸が含まれていて、おいしさや満足感を得ながら減塩ができるメリットもあるそうです。
基本の「トマみそ」の割合はトマトケチャップ:味噌が1:1ですが、ご家庭にある味噌の種類や好みに応じて調整できるとのこと。味噌の種類別ですと、北海道・東北・関東甲信越・関西などで食べられている米味噌ならトマトケチャップ:味噌が1:1、東海などの豆味噌は同1:1、九州・四国・中国などで食べられる麦味噌は同1:1.5が目安のようです。作った後は密閉容器に入れて要冷蔵です。
料理研究家・栄養士の小川聖子先生によると、市販の味噌100g当たりの食塩相当量が約10~12gに対し、市販のトマトケチャップ100g当たりの食塩相当量は約3~4g。和食料理は味噌、醤油など塩分を多く含む調味料を使うため塩分過多になりがちですが、「トマみそ」で味噌の半量をトマトケチャップに置き換えれば、かなりの減塩につながるといいます。
野菜、冷奴につけて食べてもおいしいうえ、玉ねぎやじゃがいもと一緒にお味噌汁にしたり、肉や野菜と一緒に炒めたり-と幅広く活用できるそうですよ。
では、小川先生オススメの家庭で楽しむ「トマみそ」レシピをご紹介しましょう!
トマみそ×ディップソース
「トマみそ」にヨーグルトを加えたディップソース。野菜のおいしさを引き立てる、爽やかな味わいです。
【材料】(2人分)
・トマみそ 大さじ1杯
・ヨーグルト 大さじ1杯
・キュウリ 1本
・ニンジン 1/2本
・セロリ(小) 1本
【作り方】
「トマみそ」にヨーグルトを加え、スティック野菜を添える。
トマみそ×味噌汁
いつもの味噌を「トマみそ」に置き換えるだけで減塩に。特に今回の具材は、「トマみそ」と相性バッチリです。
【材料】(2人分)
・トマみそ 大さじ1.5~2杯
・ジャガイモ 小1個
・玉ねぎ(小) 1/2個
・ワカメ 戻して大さじ1杯
・だし 400ml
【作り方】
(1)一口大に切ったジャガイモと玉ねぎをやわらかくなるまで煮る。
(2)ワカメとトマみそを加えて仕上げる。
トマみそ×味噌炒め
炒め物でも「トマみそ」は大活躍。キャベツの代わりに、ナスで作るのもおすすめです。
【材料】(2人分)
・豚肉薄切り 100g
・塩コショウ 各少々
・小麦粉 少々
・キャベツ 150g
・ネギ 1/2本
・油大さじ 1/2杯
・トマみそ 大さじ1杯
【作り方】
(1)豚肉は、食べやすく切り塩コショウ少々をふる。キャベツは大きめのざく切りに、ネギは斜め薄切りにする。
(2)豚肉に、小麦粉を薄くまぶす。油を熱しカリッと炒めて取り出す。
(3)ネギを油で炒め(油が少なかったら少し足す)、香りが出たらキャベツも加えて炒める。
(4)油が回ったら、トマみそを加えて炒める。
(5)なじんだら(2)の豚肉を戻して、全体を炒め合わせる。
和食に「置き換えケチャップ」はいかが?
続く“トマケチャ”活用減塩法は、その名も「置き換えケチャップ」です。こちらは和食に使用する味噌、醤油の半量をそのままトマトケチャップに置き換えてしまう、というもの。
塩分を3、4割カットして砂糖や和風だしの素の使用量が半分に抑えられるだけでなく、慶應義塾大学発のベンチャー「AISSY(アイシー)」(東京都港区)による味覚センサーを使った定量分析によると、普通に醤油や味噌を使った「標準メニュー」より「ケチャップ減塩メニュー」の方がうま味の数値が高かったそうなんです!
分析の対象となったのは、醤油を使った代表的和食メニュー「肉じゃが」と味噌を使った代表的和食メニュー「さばの味噌煮」の2種類。慶應義塾大学とAISSYの共同開発による味覚センサー「レオ」を使用し、通常レシピで作った「標準メニュー」、「置き換えケチャップ」をした「ケチャップ減塩メニュー」、市販の減塩調味料を使った「一般的な減塩メニュー」の3パターンを調べています。
分析によると、「肉じゃが」のうま味比較の結果は「標準メニュー」が3.06ポイント、「ケチャップ減塩メニュー」が3.15ポイント、「一般的な減塩メュー」が2.87ポイント。 「さばの味噌煮」のうま味比較の結果は、「標準メニュー」3.52ポイント、「ケチャップ減塩メニュー」3.60ポイント、「一般的な減塩メニュー」3.38ポイントとなりました。また、事前調査として男女38人に「ケチャップ減塩メニュー」の「肉じゃが」を実食してもらっているのですが、94.7%が「おいしい」と答えたそうです。
「AISSY」は、「ケチャップ減塩メニュー」は醤油ベースでも味噌ベースでも、肉料理(肉じゃが)でも魚料理(さばの味噌煮)でもうま味を損なわないどころか、逆にアップさせる調理法-と結論付けています。ご参考までに、実食調査および味覚分析で使用した「置き換えケチャップ」減塩メニューレシピもご紹介しますね。
肉じゃが
【材料】(4人分)
・ジャガイモ 3個(450g)
・玉ねぎ 1個
・豚薄切り肉 200g
・サラダ油 大さじ1杯
・水 2カップ
・和風だしの素(顆粒) 小さじ1弱
・砂糖 大さじ2.5杯
・醤油 大さじ1.5杯
・トマトケチャップ 大さじ1.5杯
【作り方】
(1)ジャガイモは皮をむき一口大に、玉ねぎはくし型切りに、豚肉は5~6㎝幅に切る。
(2)フライパンにサラダ油を熱して玉ねぎ、ジャガイモ、豚肉の順に炒め、水、和風だしの素を加える。
(3)沸騰したらアクを取り、砂糖、醤油、トマトケチャップの順に加え、蓋をして弱火で約15分煮込む。
(4)ジャガイモに火が通ったらふたをとり、強火にして煮汁を煮詰める。
さばの味噌煮
【材料】(4人分)
・さば 4切れ
・水 1カップ
・砂糖 大さじ1.5杯
・酒 1/4カップ
・しょうが 1片
・味噌 大さじ1.5杯
・トマトケチャップ 大さじ1.5杯
【作り方】
(1)鍋に水、砂糖、酒、しょうが(薄切り)を入れ火にかけ、煮立ったらさばを皮を上にして加える。
(2)ふたをして弱火で約10分煮る(途中、さばに煮汁をかける)。
(3)味噌、トマトケチャップを煮汁に加えて溶かし、約5分煮る。
“脳卒中ワーストワン県”岩手が生んだ減塩対策醤油
最近では、店頭にもさまざまな減塩商品が並んでいます。たべぷろ編集部が面白いと思った商品をいくつかご紹介しますね。
減塩商品購入・利用者の3割超が支持した減塩醤油部門ですと、“脳卒中ワーストワン県”の岩手から誕生した減塩対策醤油「いわて健民」(200ml、350円)はいかがでしょうか。10年に脳卒中死亡率全国ワーストワン県となった岩手県は、20歳以上男女の1日平均食塩摂取量(2012年)が11.8gと全国平均の10.4gを大きく上回っていたそう。自治体の依頼を受けた岩手県味噌醤油工業協同組合が企画、岩手県工業技術センター、岩手大学農学部、同大栄養科学部と協力して開発したのが、この減塩対策醤油「いわて健民」です。
特徴は食塩を25%カットしながらも、醤油ならではの風味の豊かさを保っていること。野菜や海藻に多く含まれ、塩分を体外に排出する効果があるとされつつも不足しがちなカリウムを補うことができるといいます。岩手県内のスーパーや百貨店、ドラッグストアを中心に販売され、昨年12月から今年4月25日までに売り上げ本数1万5000本を突破する大人気ぶりだそうですよ。
子ども向け減塩ふりかけや香りとスパイスを使った減塩テクも!
「子どもの将来を考えて、今から減塩しなきゃ」と考えるママには、永谷園の「減塩ふりかけ」(税抜き185円)がオススメですよ。
にんじん、キャベツ、ごぼう、かぼちゃペースト、ほうれん草ペーストが入った「5種の野菜」と梅としそにおかかの風味が効いた「梅じそ」、牛そぼろのうま味と甘辛い醤油風味が楽しめる「すきやき」の3種類があって、標準品に比べてナトリウムが25%カットされています。1袋に乳酸菌100億個が入っているのも、健康志向のママにはうれしいところですよね。
また、「香りとスパイス」で減塩をPRしているのがエスビー食品です。「香りとスパイスができることPROJECT」と銘打ってカレー粉をはじめとするスパイス、ハーブを活用した減塩レシピを多数紹介するほか、濃いめの味が好きな夫に内緒でスパイスやハーブを活用した減塩料理に挑戦する妻の姿を描いたドキュメンタリー動画「減塩料理|言葉にできない愛を足そう。 エスビー食品」を公開しています。管理栄養士協力の減塩レシピは参考にしたくなるものばかりですよ!
半数近くが「自分は塩分取りすぎ」と考えている?
インターネット調査・アンケート調査を行う「マイボイスコム」(東京都千代田区)の「塩・塩分に関するアンケート調査」※によると、「自分の塩・塩分摂取量」が「ちょうどよいと思う」と考えている人は42.1%なのだといいます。一方、「やや多い方だと思う」(39.3%)と「多い方だと思う」(7.6%)と答えた人の合計は46.9%。
半分近くの人が、「自分は塩分とりすぎ」と考えているのですね。食文化の影響などもあるようで、東北・中国地方の居住者は「多い方だと思う」と答えた割合が他の地域より若干高いようです。
「塩・塩分の摂取について気をつけていること」(複数回答可)では、「塩分の多い食品・料理はとりすぎない」「薄味のものを食べるよう心がける」「調味料をなるべくかけない、かけすぎない」が3~4割いるほか、「だしなどでうまみ成分を生かし、減塩する」「減塩をうたった商品を選ぶ」がそれぞれ2割となっています。皆さん、結構気を使っていらっしゃるようですね。
※アンケート概要
調査方法:インターネット
調査対象:10~50代以上の男女
調査期間:2017年4月1日~5日
有効回答数:10851人
「良塩くん」「うすあ人」と一緒に減塩生活を
ぜひ皆さんも、「減塩の日」PRキャラクターコンビの「良塩くん(よしお・くん)」、宇宙人「うすあ人(うすあじん)」と一緒に、減塩に取り組んでみてくださいね。
ちなみに、名前もさることながら、なんと6歳にも関わらず「料理好きかつ健康にとっても気を使い」、「かぶるキャップは塩の計量カップ、腕にはいつも血圧計を付けている」という良塩くんと「良塩くんを応援するために光輝くシリウスの隣で薄く控えめに光る星“シオウス”から地球へやってきた」という「うすあ人」のユニークなキャラクターに、編集部員は興味津々です。
良塩くんの年齢は、日本高血圧学会が推奨する食塩摂取量1日6g未満に掛けているんでしょうね…。しかも、「うすあ人」のシッポは塩分チェッカーだそうです。「良塩くん」「うすあ人」コンビの活躍? を今後も応援していきたいです!
コメント
記事コメント投稿サービス利用規約に同意の上ご利用ください。