大塚製薬は熱中症対策に新たな一手を投入する。従来の「水分と電解質(イオン)補給」に加え、「体内冷却」という新たな発想による熱中症対策を提案する。“体を芯から冷やす”「ポカリスエット アイススラリー」を夏季限定製品として、同社通信販売「オオツカ・プラスワン」にて販売を開始している。

消防士など、暑熱環境下で活動する人々に対し、“飲める氷”の熱中症対策飲料という新たな選択肢を提案する。同品を含めた「ポカリスエット」ブランドを通じて、熱中症事故ゼロを目指し、熱中症対策に貢献していく。

同品は、これまでの熱中症研究で蓄積したノウハウをもとに“アイススラリー”(細かい氷の粒子が液体に分散した流動性のある氷)という新たな形状に着目。独自の組成によって「常温保存」と「再冷凍しても冷却効果の高いスラリー状になること」を実現しているのが特徴だ。

活動前に摂取することで、効率よく“体を芯から冷やす”とともに水分と電解質(イオン)を補給することができる。

12日に開催した発表会で、井上眞専務取締役は「1992年から熱中症対策として、水分と電解質(イオン)補給の重要性に関する啓発活動を社員自ら汗をかき、啓発説明会を19.5万回、同会実施人数2210万人などの活動実績を積み上げてきた。本日、熱中症に対するもう一つの課題の“熱”についての提案を行う。研究開発は3年前からスタートし、17年から弊社と北九州市消防局、産業医科大の産・官・学連携による消防隊員を対象に臨床実験を実施した。今回の西日本豪雨被災地にて、救援活動に尽力されている消防士の方々に少しでも、今回の研究と製品開発が役立つことができれば」とした。

浅見慎一ニュートラシューティカルズ事業部製品部ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャーは「熱中症対策として“体の熱への直接アプローチ”に着目し、開発に取り組んできた。まずは、過酷な暑熱環境の中で活動に取り組む方々へのサポートから取り組んでいきたい」と語った。

将来的には一般消費者への販売も視野に入れており、まずは啓発活動として同社の通販サイトでの販売からスタートするという。

◇日本食糧新聞の2018年7月23日号の記事を転載しました。