“平成最悪” と言われるほどの被害が出た「平成30年7月豪雨」。広島・岡山をはじめ、西日本の各地で浸水被害・土砂災害などがありました。広島の一部では水道設備の被災によって災害から2週間以上も断水が続いています。「広島ニュース 食べタインジャー」を運営している筆者が被災地で聞いた声から、日ごろから備えておきたい本当の非常食を探ります。

水・電気・ガスがすべて使えない状況を想定しよう

西日本豪雨・広島の被害や対応に関する情報まとめはこちら
広島ニュース 食べタインジャー

防災バッグの中に備えておきたいグッズには様々ありますが、やはりその中でも特に重要と感じたのが「非常食」。

筆者がこれまでに用意していた非常食は

  • サバの味噌煮・焼鳥などの缶詰め
  • 「サトウのごはん」などのレトルトの白米
  • 乾パン

いったもの。しかし、今回の豪雨災害の被災地から聞こえてくる声を聞いて非常食を実際に見直してみたところ、詰めが甘い所があることに気づきました。

▼気付かされた点

  • 水がなければフリーズドライもカップラーメンも米も食べられない
  • ガスがなければお湯も沸かせない、焼くなどの調理も難しい
  • 電気がなければレンジが使えない
  • 米や麺などの主食は数日すると避難所で支給されることが多いが、野菜が摂れない

当たり前のことなのですが、自分の非常食を見返すと「レトルト白米は湯煎かレンジがないと食べられない」「野菜類のストックが皆無」などのダメポイントがありました。

開封してそのまま食べられるものを探そう

甘さが癒しになるお菓子系とプレーンなクラッカー

近所のスーパーを何軒か回り、非常食を探しました。すると、「非常食専用の食べ物は意外と揃えられていない」というのが現実。

商品の取り扱いは日常的に消費するもの(売れる頻度が高いもの)がやはり多いため、賞味期限が数か月・数年にわたるものは意外と少ない。

さらに、レトルト・フリーズドライ商品がかなり充実しているコーナーでも「水・ガス・電気がなくてもすぐに食べられるもの」が、少ないのです。

ということで、身近なスーパーでも揃って非常食にもなり得るものを実際に揃えて試食してみました。

すると、やはり底力を発揮するのは「缶詰め」。店頭に陳列されているもので賞味期限が1年以上あるものがほとんどです。

茶わん蒸しが意外と美味しかった

また、普段はあまり多くの缶詰を利用していないため気づかなかったのですが、最近の缶詰コーナーは、「茶わん蒸し」や「サラダチキン」などなど、バリエーションがとても豊富。さらにほとんどが

・フタをあけたらそのまま食べられる

・皿に移し替えなくてもOK

であるため、非常食としてのポテンシャルも高いのです。

また、注目してほしいのが、野菜が手っ取り早く摂れるのは「缶の野菜ジュース」!

万が一避難生活が長期化した時のことを考えると、缶詰めと共に防災バッグの中に数本忍ばせておくと安心感がありそう。

主食としては、レトルトパウチになった「おかゆ」なら、開封後そのまま食べることができます。

美味しく食べたいと思えば温めた方が断然いいのですが、被災直後などはガスやレンジが使えないケースが多いため、開封してすぐ食べられる主食は必ず入れておきたい。

販売されている「お粥」は、そのまま食べられるものがほとんどで、バリエーションも豊富にあります。また、賞味期限も長いのが特徴的です。

植物性油を使用したものなら常温でもおいしく食べられる

近年レトルトコーナーに驚くほど充実しているのが個食用レトルトカレーですが、ほとんどのものが味わい深さ・コクを追求するあまり「お肉」を使用していることが多い。

しかし、動物性油脂は温めなければ固まってしまって食べづらく、ほとんどのレトルトカレーは「加熱してお召し上がりください」と書かれています。

それでも、どうしてもカレーが入れておきたい!という場合にオススメなのが、「ベジタブルカレー」。こちらは植物性油を使用しているため、常温でも美味しく食べられました。

「そのまま食べられます」を探そう!

しかし残念だったのは、今回手に入ったものの中には「そのまま食べられる米」がお粥以外になかったこと。

そんな時には、「乾パン」や「クラッカー」。非常食用に缶になっているものがあり、これなら身近なスーパーでも置いているところがあります。

単体ではあまりお腹の足しにならないイメージだった「乾パン」や「クラッカー」ですが、カレーと組み合わせるといいコンビになります!

一度は実際に試食しておこう!

シリアルバーなどは手軽で場所もとらないし、入手しやすい

記事化するために実際に試食して痛感したことは、やはり「味や食感には好みがある」ということ。
「意外と美味しい!」と思ったものもあれば「・・・うーん」というものもあり、せっかくなら非常時にも「美味しく食べられる」ものを揃えておきたい。

非常食は、何事もなく賞味期限を迎え買い替えが必要になった時、食べて消費するという流れになりますが、これにストレスを感じていては非常食としても意味がないのです。

「賞味期限が早く来ないかなぁ」と待ち遠しく思えるような自分好みのラインナップを揃えておくことが、役立つ非常食の重要ポイントであると感じました。

また、日常の中に食料備蓄を取り込むという「ローリングストック法」も実用的でおすすめ。

これは、家庭で日頃使う食料を少し多めに購入しておき、一定の量を保ちながら、使ったら使った分だけ新しく買い足すというもの。

この方法も自分好みのものでないと続けられないため、「日常的に自分が食べるもの」で「日持ちするもの」を揃えるのがポイントになりそうです。