石川県金沢市のお隣にある河北郡在住の北陸家庭料理研究家・大象みかです。石川県では冬の寒の時期についたお餅でかきもちを作り、家に干します。オーブントースターなどで焼いて、おやつとして食べるのが1番ポピュラーな食べ方です。
今回は普通にかきもちを食べる以外に、アレンジ料理として、砕いたかきもちを衣にする「鶏肉のチーズフライ」を紹介します。

お餅を家庭で干してかきもちに!

今ではかきもちを作る家庭も少ないようですが、我が家は和菓子店に頼んで、とぼ餅(斗棒餅。米などの計量に使った斗棒の形に似ていることが由来)を作ってもらい、切った状態で購入します。とぼ餅を切って干したら「かきもち」になります。

写真の上から、昆布、青のり、黒豆が入ったかきもちです。家庭でついたお餅で作る人もいるでしょう。

「寒の時期の水は腐らない」と昔から言われていて、1年のうちで1番寒いと言われている大寒の時期についたお餅でかきもちを作るのが北陸のならわしとなっています。大寒の餅は保存性も良く、味もおいしいので、かきもちに向いています。ちなみに2018年の大寒は1月20日でした。

寒の時期である小寒(2018年は1月5日)から立春(同2月4日)までの水を使ってかきもちを作る地域もあるようですね。ピンク、黄色、緑色などのカラフルなかきもちを作る人もいます。かきもちが干してある様子は北陸の冬の風物詩と言えます。

我が家は父が紐で編んで、涼しい日の当たらない所に干します。昔は藁で編んでいたようですね。約1ヶ月干すと、かきもちの出来上がりです。

かきもちを味わってみよう!

約1ヶ月間干したかきもちは、オーブントースターなどで、じっくり焼いて食べます。かきもちはお正月の鏡餅より少し塩味がついていて、サクッとした歯触りが楽しめます。温かい緑茶でのどを潤すと、さらに食べやすくなりますね。

青のり入りのかきもちは、1口食べるとふわっと磯の風味が広がります。黒豆入りは豆の甘みも感じられて、香ばしい味わいがあります。1番あっさりしているのは昆布入りで、もち米本来の味が味わえます!

かきもちを使って、鶏肉のチーズフライを作ろう!

かきもちのサクサク感が料理にも活かせないかと考えました。そこで、焼いたかきもちを砕いて、フライの衣にしてみようと思い立ちました。かきもちのアレンジ料理として、鶏肉のチーズフライを作ってみます。

<材料・3人分>
・鶏もも肉 200g
・プロセスチーズ 30g
・かきもち 25g
・卵 1個
・小麦粉 適量
・塩コショウ 少々
その他にケチャップとソースをお好みで用意してください。

<作り方>
1.焼いたかきもちを破れにくい袋に入れて、めん棒かすりこぎで叩いて砕きます。パン粉よりやや大きめにするのがポイントです(ある程度大きい粒の方が、存在感があって歯触りも良いです)。今回は昆布入りのかきもちを使いました。

2. 鶏肉を3等分に切り、厚みのある所から包丁を入れて開き、塩コショウを振ります。

3.チーズを5mmくらいの厚さに切ります。

4.チーズを鶏肉に挟みます。揚げる時にチーズが見えないように、鶏肉で綺麗に包むのがポイントです!両手でギュッと丸めると、上手くチーズが隠れます。

5.鶏肉に、小麦粉、溶き卵、かきもちの順に衣をつけます。

6.170℃の温度で、5分ほど揚げます。鶏肉に厚みがあるので、じっくりと揚げてください。

7.きつね色になったら、出来上がりです。

かきもちが衣の鶏肉のチーズフライを食べてみよう!

早速チーズフライを半分に切ってみました。チーズがとろけて食欲をそそります! 1口食べてみると、揚げたかきもちのサクサク感に感動しました! かきもちは、パン粉とは違った存在感があって、何度でも作りたくなる料理ですね。

油で揚げることによって、かきもちがより香ばしくなりました。鶏肉もプルプルとした軟らかさで、サクサクしたかきもちと良い対比をなしています。食べ進めていくとチーズのコクのある味に出会えます。

ケチャップソースとも相性抜群!

ケチャップとソースを混ぜたケチャップソースをつけて食べてみます。ケチャップソースの酸味が鶏肉やかきもちとも合います! 子供も喜びそうな味に変わりました。

1日経って冷えたチーズフライも食べてみました。かきもちのサクサクした食感は減りますが、おいしさは変わりませんでした。お弁当のおかずにも良さそうです。


お近くでは北陸のかきもちを手に入れることが難しいかもしれませんが、通信販売でも購入できます。オーブントースターなどで焼いて食べたり、かきもちを衣にしてフライにしてみたりしてください。