広島県東広島市在住のたべぷろ編集部員の椛山瑛です。夫の転勤で広島に来て早12年。 海の幸と山の幸に恵まれた広島暮らしを楽しんでいます。知ると訪れたくなる、そんな広島の魅力をお伝えしていきます。
広島には「ワニ」を食べる習慣があります。主に県北部の郷土料理として伝わる「ワニ料理」ですが、近年では様々な食べ方が見られるようになりました。「ワニ料理」の歴史と併せて紹介します。

広島ではワニを食べる!?

広島の北部に位置する、三次市や庄原市がある備北地区。中国山脈の山間部にあり、冬は雪に覆われ、中四国地区でも有数のスキー場がある地域です。広島の備北地区に伝わる郷土料理の一つの「ワニ」。広島にはワニがいるんだ~と早とちりしないでくださいね。この地域でワニと呼ばれるのは、「鮫(サメ)の切り身」のこと。ワニの正体は「鰐」ではなく「鮫」なのです。

昔は冷蔵技術が発達しておらず、備北地区をはじめ県北の山間部などでは、生魚を食べることは難しいことでした。鮫は血液や体液にアンモニアがあり腐敗しにくいため、山間部まで運ぶことができたそう。そのため貴重な魚として、鮫が食べられるようになりました。生食できる貴重な魚として、刺身として食べられていました。

鮫は鮮度が落ちてくるとアンモニア臭が出て、独特の香りを放ちます。「ワニ」は癖があると言われますが、その癖のある味と共に愛されてきた食材ともいえます。冷蔵の技術が進んだ今では、アンモニア臭が出る前に凍らせることで臭いを抑えることが出来るのだそう。

また輸送手段も発達しているので、鮮度の良い生のワニの刺身を食べることもできるようになったそうです。臭みもなく食べやすくなっていますが、その癖を懐かしむ声も聞かれます。

バラエティ豊富なワニ料理を楽しもう

ワニは県北ではスーパーにも並び、居酒屋や寿司屋でもワニのメニューが楽しめる身近な食材です。なかでも三次にある「フジタフーズ」さんは、豊富なワニ料理で有名な店。

定番の刺身はもちろん、中華まん、ハンバーガー、チャーシュー、ウィンナー、ハンバーグ、焼きそばにサブレやプリンといったデザートまで。ワニグルメの聖地ともいえるフジタフーズさんで、数々のワニ料理を堪能してきました。

王道の刺身を食べずにワニを語るべからず

まずは定番中の定番、刺身をいただきます。臭みや癖もなく淡泊な味ですが、もちっとした独特の食感に好き嫌いがあるのだとか。このもちっとした食感で「ワニは脂っぽい」と感じる人もいるようです。

わさびではなく生姜を添えて食べるのは、アンモニアの臭み消しのため。新鮮な刺身は臭みがないので、もちっとした食感が苦手という人は生姜をたっぷりつけると食べやすいそうです。

フジタフーズでは刺身は冷凍したものは使わず、すべて生のものを提供しています。そのためか一般的に言われる臭いや癖は全くなく、もちっとした食感と脂っこさもなく、淡泊な後味で最後までおいしくいただきました。

三次を代表するご当地バーガー

三次のご当地バーガーとして誕生した「わにバーガー」。ワニの身をハンバーグにして照り焼きソースを絡めたパテがはいっています。その他にレタスやキャベツ、マヨネーズもたっぷり。食べ応えたっぷりのハンバーガーです。

刺身では「なかなか食べることの無い味」と思ったワニですが、加熱をするとマグロステーキのように少しパサッとした魚の肉といった感じです。肉とは違い淡泊なので、さっぱりと食べられるハンバーガーですね。

わにまんでワニの栄養を食べつくそう

「わにバーガー」と並ぶご当地メニューの「わにまん」。わにまんの説明には「ワニの身と皮にたっぷりの野菜を加え,中華風に仕上げた餡をもっちりとした皮で包んだ」とあるのですが・・・。正直どこらへんがワニなのか・・・。

中華まんとしては絶品ですが、残念ながらワニ感は味わえない品でした。コラーゲン、ヒアルロン酸、ビタミンと美容に嬉しい成分が多く含まれるワニ。ワニのエキスをあますところなく食べられるのは、「わにまん」なのだそう。おいしくて、綺麗になれる嬉しい食べ物ですね。

長くその土地で愛されてきた郷土料理。昔ながらの食べ方も、新しい食べ方もどちらも楽しみながら、貴重な食文化を残していきたいですね。ワニが一番おいしくなるのは、身が締まる秋から冬にかけて。ぜひワニを食べに、県北を訪れてくださいね。