伊藤忠食品は24～26日、全国の商業高校生が開発した食の商品コンテスト「商業高校フードグランプリ2017」の本選を行った。今年は開催5年の節目を記念し、2万人が集まる「国際オーガニックEXPO2017」（パシフィコ横浜）の会場内へ決勝の舞台を設定。事前審査を勝ち抜いた6校が3日間にわたって競い合い、高知県立安芸桜ケ丘高校のスイーツ「なすのプリン」が大賞の栄冠を手にした。

本選には全国37校・55品のエントリーを勝ち抜いた6ブロックの代表校が集結。高校生自らが各ブースで来場者へ開発商品の試飲・試食を薦め、商品PRやコンセプトの説明などで熱戦を繰り広げる様子は、さながら“商品開発の甲子園大会”といった風情だった。

最終26日の本選審査は各校がステージ上で5分間のプレゼンテーションを行い、商品の特徴や開発経緯、地域への思いなどをパフォーマンスも交えながら審査員にアピールした。

厳正な審査の結果、大賞に輝いた「なすのプリン」は、高知県立安芸桜ケ丘高校の生徒の「安芸市は農業中心の地域で、多くの人が都会へ出て行ってしまう。地元特産のナスを使った商品を通じて、過疎化が深刻な安芸市を元気にしたい」という願いから、地元企業との連携で開発した商品だ。

原料に、エコシステム栽培（環境保全型農業）で育ったナスを皮まで丸ごと使用。丁寧に裏ごししたナスのペーストにキャラメルソースを加え、ミルクプリンと交互に組み合わせることで、見た目もかわいく、オシャレなスイーツに仕上げた。

キャッチフレーズは「高校生発信にゅー・べじたぶる・すうぃーつ」。ナスが苦手な人でも食べやすい味で、すでに高知県内のカフェや売店、道の駅などでも土産物として販売されている。価格は200円（税抜き）。

大賞は商品の味や創意工夫、地域貢献性、持続可能性などの評価基準を満たしたことに加え、3日間の展示会来場者の投票数でトップを競う「来場者賞」も獲得したのがポイントになった。

審査委員を務めた伊藤忠食品の高垣晴雄社長は「社長に就任して初めてグランプリに参加したが、高校生の皆さまの努力に非常に感動し、心が洗われた」とコメント。「商業高校フードグランプリ」は伊藤忠食品が本業を生かしたCSR活動の一環として行うもので、食に関わる若い人材の育成と商業教育における「商品開発」科目の実践的教育の場の提供を目的としている。

同社では今後、CSRにとどまらず、人材育成や地域活性化など社会と共有できる価値を創造しながら、商業高校の開発商品を本業の卸売へ結び付ける「CSV」への発展を目指していく。

◇日本食糧新聞の2017年8月30日号の記事を転載しました。