「SNS映え」はすでに動画の時代に突入している。どのサービスでも静止画よりも数秒~数十秒の短時間動画を投稿する方が注目されるのだ。そうした背景をもとに商品開発した成功事例が「Cafe&Dining Cheese Cheese Worker」の「溶岩パスタ」だ。

グツグツと煮えたぎった黄金色のチーズソースから、マグマのように赤く染まったパスタが登場。熱々の鉄鍋の底からトングでつかみ上げる瞬間に立ち上る湯気も、噴火っぽさ満点だ。

同品はコロナ禍をきっかけに、食事利用の客を増やすために開発された。同店のターゲットである10代後半~20代に刺さるSNS映えする商品として「グツグツと煮えたぎるシズル感」と「パスタを取り出したときの派手な演出」をテーマに考案。チーズ業態である強みを生かしながら、驚きのある演出を考えた結果、チーズソースの下にトマトソースを絡めたパスタを隠し、底から取り出すアクションやインパクトを狙った。

白い溶岩パスタ、溶岩パスタ
写真(奥)=白い溶岩パスタ、写真(手前)=溶岩パスタ 各2~3人前1580円、各1~2人前1188円(すべて税込み)

商品化の課題となったのが味のバランスだ。「濃厚なチーズソースをたっぷり使うので、最後まで食べられる軽い味わいに仕上げることがポイントでした」と朝倉宏充マネージャーは説明する。そこでトマトソースを軽いタイプのものに変え、チーズソースとの間にベシャメルソースを挟んだ三層構造とすることで最後までもたれず食べきれる味を作り上げた。

調理工程は硬めにゆで上げたパスタにトマトソースを絡めて蓄熱性の高い鉄鍋の下に敷き、ベシャメルソース、チーズソースの順に注ぎ入れて250℃のオーブンで5分ほど加熱。提供直前にバーナーで表面だけでなく鍋肌も加熱し、沸騰状態を保ちながら提供する。

料理工程
250℃のオーブンで5分間温めた後、提供直前にバーナーで炙る。この2工程によりグツグツ状態を維持させる

溶岩パスタは狙いどおり、客のSNS拡散を誘発。その結果、ターゲット客に加えて週末は子連れのファミリー客も訪れる人気ぶりを見せている。

2021年10月からはチーズソース&カルボナーラの「白い溶岩パスタ」を投入し、半年後には注文比率1対1まで伸びるほど好評で、溶岩パスタが新たな名物商品として受け入れられている。今春からは1人前サイズも提供を開始してランチ客の気軽な注文につなげるなど、店の主力商品として着実な成長を遂げている。

店の内観
コンクリート打ちっ放しのスタイリッシュな内装。女子会や合コンの利用動機が主だったが、コロナ禍に対応するためフードに注力している

●店舗情報
「Cafe&Dining Cheese Cheese Worker」
所在地=千葉市中央区中央3-4-10 千葉銀座ビル4階/開業=2019年11月1日/坪数・席数=25坪・60席/営業時間=11時30分~15時、17時~23時。月曜休/平均客単価=昼1800円、夜2700円

◇外食レストラン新聞の2022年8月1日号の記事を転載しました。