山形在住たべぷろ編集部員・林エマです。これまでいろいろな町、国に住んできましたが、どこに行っても食の順応だけは早いのが自慢です。さて、毎月9の付く日はクレープの日。それは、数字の9がクレープを巻いた形に似ているからだそうです。そこで今回は、私が以前住んでいたフランスの郷土食でクレープのルーツ「ガレット」をご紹介します。

ガレットがなければクレープは誕生しなかった!

日本でも、ガレットが食べられるお店が増えていますので、みなさん一度は食べたことがあるかもしれませんね。そんな今や世界中に広まっているガレットは、元々はフランス北西部にあるブルターニュ地方の郷土料理です。

写真のように独特の可愛らしい木組みの家々が並ぶブルターニュ地方の街並み。そんな美しい町を歩いているとたくさんのガレット&クレープ屋さん(フランスではクレープリーと言います)に遭遇します。

ブルターニュ地方といえば、雨が多いことで有名。フランス人にとっては、どんよりとした曇り空のイメージが強い地方なんです。そんな天候に恵まれないブルターニュ地方は、小麦栽培には向かず、瘦せた土地でも育つソバを使った食べ物ガレットが誕生したというわけです。

昔は、貧しい者の食べ物とみなされていたようですが、ルイ13世が妻アンヌ王妃を伴ってブルターニュを訪れた際、王妃がこのガレットをとても気に入ったことから、宮廷料理に取り入れられ、そこからフランス全土に広まりました。

その後、そば粉の代わりに生地に小麦粉を使うようになり、あのクレープが誕生したのです。

フランス流ガレットの食べ方は?

ガレットとクレープの違いですが、一般にフランスでガレットと言えば、塩気のあるお食事用。甘いものは、クレープと呼ばれています。フランスでは、手軽に食べられるものとしてランチにディナーにとよく登場するメニューなんですよ。

私が通っていた大学の学食では、ガレット&クレープの日というのがあって、写真のように甘いクレープとお食事用のガレット両方が楽しめる学生にも人気のイベントでした。

そんなガレットの中身は、実に多種多様。フランスでガレット専門店に行けば、なかなか決められないくらいの豊富な組み合わせがあります。でも、一番人気の定番はガレット・コンプレットと呼ばれる、エメンタールチーズ・ハム・卵を乗せたシンプルな食べ方。トロリとした半熟の卵を絡ませながら食べるのが、本当に美味しいんです。

また、ガレットは四角に折りたたまれた形で出されるのが一般的ですが、写真のようにソーセージをガレットでくるくるっと巻いた、まるでホットドッグのような食べ方もあるんですよ。こちらはその手軽さから、スポーツの試合や大きなイベントの時などは、大人気の屋台メニューです。

そして、ガレットに欠かせないもう一つの物、それはブルターニュ名物シードルです。このリンゴのお酒シードル、ガレットを食べる時にはマストアイテム。写真にも写っていますが、フランスではシードルを飲む時、グラスではなく持ち手の付いたコーヒーカップのような物を使って飲むんです。なんだか可愛らしいですよね。シードルは、爽やかでフルーティーな発泡酒なのでお酒があまり得意じゃない方でも、ぐいぐい飲めちゃいますよ。

手作りガレットでおうちカフェ気分

ブルターニュ人は、ガレットに並々ならぬ愛情とこだわりを持っています。それぞれの家庭には自慢のガレットレシピがあり、ガレット専用のフライパンを器用に操り焼き上げます。

そんなちょっとオシャレ感漂うガレットですが、意外と簡単に作れちゃうんです!日本でも、そば粉さえあれば気軽にフランスの味が楽しめます。私が試したレシピは、そば粉、塩、卵、牛乳、水とシンプルな材料。生地ができたら、伸びがよくなるよう少し寝かせるのがポイントです。

熱したフライパンになるべく薄~く生地を広げ、お好きな具をのせて火を通し、四隅を折れば完成!ブルターニュ伝統の味がお家で作れちゃうなんて、ちょっとうきうきしますね。次のお休みは、お家カフェ気分でガレットを作ってみませんか?