「親子丼」といえば、丼物の定番人気メニュー。子どもから年配者まで支持され、安定したオーダー数が獲得できるので提供する店も多い。そんなどの店で食べても「そこそこうまい」ものを大胆なアレンジで差別化したのが、「炭火やきとり 萩」の「いかすみトマト親子丼」だ。

「割り下でサッと煮た鶏肉を卵でとじる」という親子丼の基本を守りながらも、「炭火やきとり  萩」の親子丼のバリエーションは豊かだ。山梨県のブランド鶏「信玄鶏」で作る焼き鳥が自慢の同店では、信玄鶏を使った「鶏だし親子丼」を軸に、「しめじバター親子丼」「ピリ辛ニラ玉親子丼」「カレー南蛮親子丼」「豆乳チーズ親子丼」の5種類を提供している。

いかすみトマト親子丼 990円(税込み)

「普通の親子丼1種類だけだと、お客さんは食べ飽きてしまいますが、種類を増やすことで、日替わりで注文できるので、リピート率を上げられます。あともう1種類増やしたいと考案したのがこれです」と萩本欣宏店主。

発想の起点は「色」。「ピリ辛ニラ玉」は赤、「カレー南蛮」は茶、「豆乳チーズ」は白として、新作親子丼は何色にするか? 「食べ物として意外性のある色がいいと『黒』を思いつきました。でも黒い食べ物で思いつくのはイカスミパスタくらいで…」。

ミニトマトは火を入れ過ぎないように、卵でとじる直前に投入

そこでイカスミパスタをヒントに親子丼バージョンにトライ。「最初は卵と相性のいいトマトケチャップを使うことを考えましたが、味も見た目もイマイチ。ミニトマトにしたら爽やかな酸味が味のアクセントになり、イカスミの黒との色のコントラストもいい」とイカスミ+ミニトマトの親子丼が誕生した。

同店では、信玄鶏を使った自家製鶏がらスープとカツオだしをブレンドした割り下を使用。これをスープにしたラーメンを提供しているほどの店主の自信作だ。鶏がらと鰹節のダブルのうま味が詰まった割り下が、味のベースをキッチリ押さえているからこそ、どんな食材を使用しても「親子丼」が成立するのだろう。

●店舗情報
「炭火やきとり 萩」
所在地=東京都目黒区緑が丘3-2-5/開業=2013年3月/坪数・席数10坪・26席/営業時間=12時~13時30分、17時~23時。日曜休/平均客単価=3500円/1日平均集客数=40~50人

◇外食レストラン新聞の2021年7月5日号の記事を転載しました。