オランダを含むヨーロッパ暮らしの醍醐味の一つが、陸続きであるために気軽に隣国へ行けることです。例えばオランダからだと南にベルギー、東にドイツ、海を挟んで北にイギリスという立地条件。本当に手軽に異国へ行けます。交通手段も電車、車、自転車はたまた徒歩でも可能。
そんな旅好きに好条件を備えているヨーロッパの隣国ベルギーへ行ってきました。今回の行き先はアントワープとブリュージュでした。時にはオランダから離れて、隣国の食事情もいかがでしょう。皆さん、ベルギーといって思い出されるのはどんな食べ物ですか? 女性ならチョコレートやワッフル、男性ならベルギービールでしょうか。

ベルギーっ子はスタンドで買って揚げたてを食べます

さてベルギーの食生活。私はベルギーに住んでいないので在住の方ほどの詳細はわかりませんが、ベルギー人は美食家であること。これは間違いありません。フランスの支配下にあった時期もある歴史を持つベルギーの食文化は、確かに味にこだわった食べ物が多いですね。

前にも挙げた、チョコレートやビール、ワッフルはいわずと知れた名物ですが、実はもう一つ皆様よくご存じでベルギー発祥の名物料理があります。それはフレンチフライポテト。

ベルギーではフリッツ(friets)と呼ばれ、スナックとしてはもちろん、食事の付け合わせとしても様々な料理とともに登場します。

塩を軽く振った状態で出て来たものに、マヨネーズソースをつけて頂くのが定番。街の至る所にフリッツのスタンドがあり、揚げたてホヤホヤ湯気の立っているのをほお張ると気分はベルギーっ子。

アントワープ中央駅

ベルギー発祥なのに「フレンチフライ」と呼ばれる理由は…

さてこのベルギーの人達のソウルフード・フリッツは、どのように生まれたのでしょう。フリッツの歴史は、1680年ごろに遡ります。

当時からマース川(オランダからベルギーを通過してフランスに流れていく川)で採れた魚などを油で揚げて食べていたベルギー南部の人たち。悪天候などで川での漁が出来なくなった時に保存食として持ち合わせたジャガイモを魚に見立てて油で揚げて食べたのが始まりのようです。

ところで、なぜ「フレンチフライ」とも呼ばれるようになったのでしょうか。

どうやら第一次大戦中にアメリカ兵がベルギーで多分、お裾分けのような形で食べさせてもらい、おいしさに感動(?)してアメリカに持ち帰ったようです。この時、アメリカ兵にお裾分けをしたベルギー人が南部の人だったためフランス語を話していたことからフレンチフライと呼ばれるようになったとか(ベルギーは北部の公用語がオランダ語で南部の公用語はフランス語です)。

もしも北部ベルギー人がアメリカ兵に提供していたら、ダッチポテトという名前だったのでしょうね。

「フランダースの犬」の舞台アントワープ

フランダースの犬の舞台になったノートルダム大聖堂

アントワープといえば「フランダースの犬」の舞台です。あの辛く悲しい物語で涙された方は多いと思います。今も熱心なファンの方が訪れる、いわば聖地であるアントワープでは、日本からの観光客の人たちに毎回お会いします。フリッツは「フランダースの犬」の中でも出てきたと記憶しています。

ブルージュの街並み