マンガやアニメ作品に登場する食は、視聴者の消費行動を促す重要なコンテンツになる–。6月28日に行われた日本鉄道構内営業中央会総会で、法政大学大学院特任研究員の鈴木里加子氏は、マンガ・アニメ作品をきっかけに注目を浴びた食として、おにぎりを事例に、駅弁の持つ新たな価値創造の可能性を語った。

日本のマンガ・アニメ作品の劇中には、おにぎりが多く登場する。日本では一般的な食品ではあるが、海外の視聴者には新規に映る。キャラクターが何を食べているのかはファンには作品の中の「ひとつのリアリティー」として考えられており、特に東南アジアではアニメ作品を通じて日本の「食」認知を形成することが多い。

近年は「インスタ映え」などSNSでの写真共有が全盛の時代にあり、中でも料理写真のインターネット上の共有は過熱傾向にある。鈴木氏は、「写真を撮ることはもはや自分一人の記録のためではなく、ビジュアルコミュニケーションとして人間関係構築のツールになっている」と指摘し、食が豊かになった証拠でもあると解説した。

そうしたコンテンツが広く共有されることで、食は新たな付加価値を生み出し、人を消費行動へ促すことになる。鈴木氏は、「日本人の食の中で、駅弁は誇るべき食文化。コンテンツとしても魅力があり、ぜひ次世代につながっていってほしい」と今後の可能性を示した。

◇日本食糧新聞の2017年7月14日号の記事を転載しました。