にんべんは9月から、「しゃぶしゃぶごまだれアーモンド330g」といった新商品を発売し、成果を挙げている高級路線を貫く。チルド売場向け調味料も新たに販売し、「強みの鰹節起点で提案し続ける」(神谷俊光執行役員家庭用事業部部長)。既存品は速水もこみちを起用したCM投下、インスタグラムを使ったレシピコンテストなどを行い、販売を後押しする。

近年は日本橋本店や創業320年近くの社史が、TVの情報番組で取り上げられて話題提供。直販は高価な「薫る味だし」が売上げを伸ばし、価値と価格を向上している。ブランド力が高まり、量販店向けでも「つゆの素ゴールド」が2桁成長。家庭用市場へ高級イメージが浸透していると判断し、新商品はアッパー商材をそろえた。

「ごまだれアーモンド」はコク増しにアーモンドを使い、豊富な健康栄養成分を想起させる。人気のごまだれ・ドレッシング市場で従来なかった健康志向を訴える。クリーミーな味わいはサラダなどに最適。450円と少しだけ割高に値付けし、売場で手を伸ばしやすいよう工夫した。

「しゃぶしゃぶごまだれアーモンド」、ラベルはマット加工して上質感を出した

チルド棚向けには昨年、鍋つゆで好評を博した「だしが世界を旨くする」をシリーズ展開する。鮮魚売場で「地中海風白身魚のソテーソース」、青果で「山形風芋煮汁の素」、豆腐で「豚バラ豆腐の素」と各カテゴリーで惣菜調味料を提案する(各2人前×2袋で200円、芋煮のみ1袋)。

だしを切り口にした、珍しいコンセプトに流通業の評価も上々。物流は従来の加食ルートを活用する。週末やイベント食といったハレ消費、インスタ映えニーズなどに応える。

そのほかの新商品も市場ごとのプレミアム消費を喚起。「すき焼わりした300ml」(450円)はシニア層に有機醤油などのこだわりを伝え、「濃い味だし鰹節200ml」(368円)は屋号を前面に押し出して新規ユーザーを得る。

既存品は好調な「ゴールド」で11~12月にTVCMを投下。アンバサダーに任命した速水もこみちを初めてCMに起用し、直販では各種コラボ商品を展開する。昨年若年層を開拓した「だしが世界を旨くする鍋スープ」は、3万品に速水もこみちの紹介レシピとオリーブオイルを添付。インスタグラムでレシピアイデアを募集し、通期のコンテストで鍋商戦を盛り上げる。

◇日本食糧新聞の2017年7月10号の記事を転載しました。