愛媛県松山市在住のたべぷろ編集部員・藤田竜一です。生まれてこの方20年以上を愛媛で過ごし、現在は松山に移り住んで10年。愛媛の中でも繁華街のある松山でさまざまなものを食し、愛媛ならではなの食べ物にも触れてきました。今回は愛媛県民ならば誰もが食べたことのある「じゃこ天」のルーツと共に、暑い夏でもサクッと食べられる簡単レシピをご紹介しましょう。

地元でとれた魚をすり身にして油で揚げます

じゃこ天は愛媛県南予地方の海岸部で作られた特産品です。地元でとれた魚をすり身にした後、油で揚げた魚肉の練り物になります。「じゃこ天」以外の呼び方には「じゃこてんぷら」や「皮てんぷら」、単に「てんぷら」と呼ぶこともあるようです。

じゃこ天が生まれたルーツとしては、実はこの「てんぷら」と呼ばれる部分に大きな理由があるといわれています。「てんぷら」は元々南蛮料理の一種で、戦国時代にポルトガル人やスペイン人が来日すると共に日本に伝わった文化の一つです。南蛮漬けが伝わると同時に、魚をすり身にして揚げる技術が沖縄を中心に広がり、さらに九州を経て宇和島に伝わったと考えられています。

また、宇和島でじゃこ天が生まれたのには、魚が豊富に獲れる瀬戸内海に面していたことも起因しているでしょう。魚を調理するための方法として、すり身にして油で揚げるというのは当時画期的であり、生魚よりも保存がきくので郷土料理として根付いたのだと思われます。

ちなみに、じゃこ天はもともと「雑魚天」と呼ばれており、宇和島近海で獲れる安い魚を使って作られる食材でした。そのため、1枚を安価に作ることに成功したこともあり、地元で普及したものだと思われます。

通な人はそのまま食べます

愛媛県で食べられるじゃこ天は小魚をそのまま使用して作られているので、小さい骨もまるごと利用しているのが特徴です。そのため、他の練り物に比べると魚の風味が強く残っており、噛むごとに小さい骨がカリカリと小粋な音を立てます。

また、魚を余すことなく使っているじゃこ天は栄養満点。カルシウムはもちろんEPA、DHAがふんだんに含まれており、愛媛県では老若男女の人が食しています。スーパーに行けば3枚セットで150円ぐらいで販売されていることもあり、誰もが食べられる食材です。

基本的な食べ方は焼いて食べるなのですが、専門店などではそのまま出してくれたものを生で食べることもあります。宇和島に行けばじゃこ天の専門店はいくつも存在しており、新鮮な生のじゃこ天をばら売りしています。そのじゃこ天を紙などに包んでもらい、車中や歩きながら食べるのもオツなものです。

宇和島以外にも愛媛県にある「ふたみシーサイド公園」というデートスポットでは、じゃこ天専門販売店を置いてあります。こちらではデートスポットらしくハート型のじゃこ天が売られており、地元民だけでなく観光客も、じゃこ天を買って海を見ながら食べています。

夏でもサクッと食べられる簡単調理レシピ

じゃこ天をいきなり生で食べるのは抵抗があるかと思いますので、ここでは夏でも簡単に調理できるレシピをご紹介しましょう。

じゃこ天のレシピは非常に簡単です。用意する材料はじゃこ天2~3枚、大根、ネギで十分です。少しアクセントが欲しい人は、ショウガを用意しておくのもいいでしょう。

まず、フライパンに大さじ3杯程度の油を引いてじゃこ天を揚げていきます。このとき、じゃこ天の表面が少しキツネ色になるぐらいで大丈夫です。その後、大根をすりおろしてネギを振りかけるだけで完成です。

お好みでショウガと醤油をかけて食べると、暑い夏でも栄養満点のじゃこ天を簡単に摂取できるアレンジレシピです。また、ショウガが苦手な人はポン酢にすると、より食が進む味付けになりますよ。

今回は愛媛県ではなじみ深いじゃこ天についてご紹介しました。じゃこ天は手軽に調理できる上に、栄養価も高いことを考えれば、地元で慕われているのもうなずける食材かなと思います。地元では、煮物や炊き込み御飯、カレーに使われることもあるようです。

夏バテ時にちょっとおかずを増やしたいときに最適な食材「じゃこ天」。通販でも購入できますので、ぜひ献立に入れていただければと思います。