みなさま、はじめまして。北海道帯広在住の栂安(つがやす)信子です。私は長崎で生まれ育ち結婚を機に北海道の住民になりました。そして気が付けば十勝の魅力を発信し続け、昨年10月「とかち観光大使」に任命されました。これからみなさまに十勝での調理法、生産地ならではのおいしい食べ方のコツをお届けしていきます。

日本の農業を支えている北海道十勝地方

十勝は北海道が区分した14地域で帯広市と16町、2村で構成され面積は東京23区の17.5倍です。地名は中央を流れる十勝川をさすアイヌ語『トカプチ』に由来しています。

日本の食料自給率が39%に対し十勝の自給率は1100%。文字通り日本の農業を支えている地域です。「十勝晴」が代名詞になるように天候に恵まれジャガイモ、豆、ビート(砂糖原料)小麦の畑作4品目を中心に多くの農産物を栽培し、みなさまの食卓に届けています。

8月から11月までは北海道のジャガイモ出荷最盛期で9月にはジャガイモ祭りが開かれます。7月には花が咲き始め男爵は白、メークインは紫色。畑が美しく彩られます。

メークイン畑

帯広の家庭での食べ方は

さてみなさまはジャガイモをどんなふうに召し上がっていますか。人気なのはカレー、肉ジャガ、ポテトサラダ、コロッケ、フライドポテト、粉吹きいもなどでしょうか。

帯広のスーパーや産直ではメークイン、男爵以外にキタアカリ、レッドムーン、とよしろ、ノーザンルビー、シャドークイーン、インカのめざめ、インカのひとみ、十勝こがね、とうやなどバラエティー豊かなジャガイモが並び、どれを買おうかと悩むほどです。

産直で買ったジャガイモ

もし手持ち材料がジャガイモだけの場合、サイコロ状に切り塩少々を加えたジャガイモご飯を試してみてください。小葱を散らすとごちそうご飯の出来上がりです。

こちらの写真は、梅干入りジャガイモご飯です。米1.5合、ジャガイモ150g、普通の水加減にジャガイモの分を足し、炊飯器の水加減は2合より少し下のラインです。白米に塩を加えますが、代わりに梅干を入れてみました。ジャガイモですが栗ご飯のような味わいです。

帯広の家庭ではそれぞれ工夫して調理しています。郷土料理の芋団子は冷凍可能です。ジャガイモそのものは冷凍不向きですが蒸して潰し片栗粉を混ぜ、棒状にし切り目を入れて冷凍すると使う時に便利です。

両面をこんがり焼き砂糖醤油、バター醤油、お汁粉、味噌汁、冬場の鍋の具材、揚げてもおいしく大きめに作っておけば主食にもなります。また、ジャガイモだけのコロッケを大きく作っても充分にメイン料理になります。

芋団子汁と豆ご飯

台風被害で一時店頭から消えたジャガイモ…

ジャガイモは17世紀初めにジャカルタから長崎へ伝わりその後400年、少しずつ広がり今では全国で栽培されています。長崎生まれの私にとってジャガイモは特別な存在です。家庭で保存されている食材で卵についでジャガイモは第2位、つまり一番食べられている野菜なのです。

昨年夏は1週間に3回も台風に襲われ、十勝地方は大打撃を受けました。畑が浸水しジャガイモ生産量が不足、ポテトチップス生産中止のニュースはまだ記憶に残っています。今まで当たり前にあったジャガイモが店頭から消え、戻ってきたら値上がりに。

ぜひ、あって当たり前の野菜代表格、ジャガイモを知りおいしく召し上がってください。