NYのセレブが住むマンションで、住民たちの高いパフォーマンスを身近に観察した医師・中村康宏さん(32)。そこで学んだのは「ヘルスリテラシー」。仕事前のジムも体脂肪率を気にするのも、マルチビタミンを取るのも、すべてバツ! 正しい情報を正しく取捨選択するコツと、努力なしで簡単にパフォーマンスを上げるために、いますぐできる健康術を教わりました。

ヘルスリテラシーの高い人だけが生き残れる時代です

実は、健康でいるために強い意志はそれほど必要ではありません。にわかには信じられないかもしれませんね。必要なのは正しいヘルスリテラシー。これさえあれば、最強の健康を効率的に手に入れることができます。

私は都内の勤務医だった28歳の時、NYに渡りました。どうしても学びたかったこの地の最新の予防医学をめざしてです。そこでNYに住むセレブ、経営者、富裕層と呼ばれる人たちにはある共通点があることを発見しました。それは、パフォーマンスアップのための健康体の維持です。

メディアで話題になった断片的な知識だけで行動すると、効率が悪いばかりか健康のためには逆効果のことも少なくありません。日本人は真面目ですし、健康意識が高い人も多いです。ニューヨーカーとの違いがあるとすれば、氾濫する情報を判断・統合するための「立体的な視点」、つまりヘルスリテラシーが希薄なことです。

現代は、ファストフードや運動不足、ストレスなど病気のリスクファクターが圧倒的に増加しています。医療も高度化して治療やケアの選択肢が増え、健康にまつわる情報があふれています。

日本と比べ、格段に医療費が高いアメリカでは、「自分の主な問題は何か」「自分は何をする必要があるのか」を理解し、正しい情報を選び、行動に移せるスキル、このヘルスリテラシーがより重要です。もちろんアメリカに限らず、これからはこの能力が高い人だけが生き残れる時代なのです。

「行動の定着」が健康の肝 当たり前のことをコツコツ続ける

私が提唱するメソッドは、考え方・行動・感情の3つに焦点をあて、健康維持のために毎日の行動を適切にする「行動医学」です。誰がやっても短期間で効果が期待できる「認知行動療法」が土台です。

健康の要とは何でしょう。それは睡眠・食事・運動。この3つが関連してパフォーマンス能力が最大限に発揮されます。正しい情報を知らなければ、いくら健康になりたくてもより良い意思決定はできませんね。

自分は睡眠・食事・運動のどこにつまずいているか。それに気づくと、ムダなく目的地にたどり着けます。書籍でも紹介した「つまずきポイント」でチェックリストを見直すことで、最も効果が見込める「健康パターン」が決まります。

健康パターンを実践するのは、自分らしく生きること。まわりの情報や意見にふりまわされず、自分で決めたことを日々、実践するのは、つまり自分で自分の人生をコントロールすることです。

最低限、これさえやれば効果が実感できる健康パターンを紹介します。それが次の2つです。

・寝る時間を同じにする
・朝食は必ず取る

え、こんなに簡単でいいの!?と驚かれたでしょう。成功を収めるには「当たり前だと軽視されがちなことをコツコツと続ける」こと。毎日行動すると、「やればできる」と自分を信じる「自己効力感」が高まります。

効果が見えれば納得感が出て、行動は続きます。小さいけれど同じ行動を繰り返すことで、脳に専用の神経回路がつくられ、確実な習慣になります。「行動の定着」がパフォーマンスアップの肝です。

朝食の定番は食物繊維豊富なきのこ これで腸内環境を整えます

私の朝食を紹介します。きのこを2種類用意します。たとえばしいたけとぶなしめじ、これをシリコン製の蒸し野菜器に入れてレンチンするだけ。簡単でしょう? 手の込んだ朝食はつくりません。

きのこには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が豊富です。食物繊維は善玉菌のエサになるので、積極的に取ることで腸内環境を整えます。

きのこはアメリカで買うと高価ですが、ニューヨーカーが好んで買うきのこや抹茶や豆腐、納豆は日本では安いし、どこでも売っています。ニューヨーカーからすれば、栄養価は抜群だけれど値段も高く、どこにでもあるわけではない優良食材がどこでも買える、非常に恵まれた環境にあるのです。

腸は第2の脳とも言われ、500種類以上もの腸内細菌が生息しています。腸内環境に良くない食事を続けていると、悪玉菌が増加↓全身の免疫が過剰に活性化↓炎症↓酸化ストレス↓糖化反応という悪循環を生みます。

私のもう一つの定番は「納豆+卵+かつおぶし+青汁パウダー」。朝は脳と身体を活性化する時間帯です。ニューヨーカー的に、やるべきことをルーティン化して、考えることを減らして効率と時間を手に入れています。

アメリカの大学院で「君のビジョンは?」と繰り返し聞かれました。ビジョンとは、実現したい将来の自分の姿です。ありたい姿が見えると、コアバリュー(何かを判断する際に基準となる価値観)とミッションに気づきます。自分の根本的な価値観が明確になれば、意思決定で迷わず、人生もブレなくなるのです。健康も身体も同じですね。

<プロフィール>
なかむら・やすひろ 医師、産業医、米国公衆衛生学修士ホルダー。関西医科大学卒業後、虎の門病院で内科医・消化器内科医として研鑽を積み、最先端予防医学を学ぶため米国へ。帰国後、日本初のアメリカ抗加齢学会登録施設「虎の門中村康宏クリニック」を開業。6時起床後に筋トレ。7時30分から医療機関で診察。帰宅後、自分のクリニックで21時まで診察。24時就寝。寝る前のストレッチ、顔パックが日課。

『ヘルスリテラシー NYセレブたちがパフォーマンスを最大に上げるためにやっていること』
中村康宏 著/主婦の友社
単行本(ソフトカバー):232ページ
発売日:2019年7月10日
定価:1,480円(税別)

<本の中身ちょっと拝見>

ニューヨーカーは、アボカド好き。朝食に、ナッツと小魚を炒ったものにアボカドマヨネーズをかけたものを毎日、ルーティンにしていた人もいました。これで朝に取るべきたんぱく質、食物繊維、炭水化物(糖質)が摂取できます。

◇百菜元気新聞の2020年1月1日号の記事を転載しました。