三度の飯より甘い物が大好物、たべぷろ編集部員の田中茂中です。7月3日はソフトクリームの日ということで、珍しいソフトクリームを紹介します。ソフトクリームは全国各地にさまざま食べ方や味が存在しますが、こちらは山形県米沢市にしかない食べ方だと思われます。何と! 山形県米沢市には「うこぎ味」のソフトクリームがあるのです。

長く米沢の歴史に寄り添った「うこぎ」

「…うこぎ? うこぎって何?」と、そこから聞きたくなるくらい耳にしたことのない存在かもしれませんね。

山形県の置賜地方で作られている伝統野菜「うこぎ」。うこぎは独特の香気と味を持っていて、米沢地方ではその味が「きどい(山菜などの独特の風味のこと)」と評されていたりもします。


うこぎは栄養価も高く、抗酸化作用や血糖値の低下作用、コレステロールの低下作用などといった健康にも良い存在。

米沢藩9代藩主・上杉鷹山公がうこぎを防犯や非常食にできるよう垣根として推奨したこともあり、米沢ではうこぎを垣根として植樹しています。

うこぎの生け垣から柔らかい葉を摘み取って、「これはそのまま天ぷらなどで食べられますよ」と教わったときは驚いたものです。

垣根にも健康茶にもソフトクリームにも!

垣根であり食べ物でもあるうこぎ。春から夏にかけてしか採れない山菜のような存在です。

葉っぱなので、抹茶のような味かなと思ったのですが、予想よりも軽く爽やかな甘み。うこぎのお茶も味わっていますが、そちらも緑茶のような苦みはありませんでした。やわらかな春の味がします。

食べ頃は3月から5月の芽吹いたとき、また種類によっては5月下旬から8月までが旬。和え物やおひたしとしての食べ方もあります。旬は春から初夏までで、通年では摘み立てのうこぎを食べることができません。

その点、うこぎソフトクリームは観光の際にも必ず食べることができておすすめなのです。

うこぎソフトクリームの「きどい」味を米沢で食べる

うこぎは米沢のお土産として、お茶はもちろんのこと、うこぎ麺などとしても食べやすく加工されています。その中でも親しみやすく紹介したい食べ方は「うこぎソフト」。米沢の主要観光地・上杉神社前の「べに花庵」さんでいただきました。

うこぎソフトクリームの色は、うっすらとした緑色。濃緑ではない控えめな色ですが、確かに葉っぱらしさを感じさせます。

実際食べてみると、さわやかな甘み。きどい(えぐい)味と言われるうこぎですが、ソフトクリームでいただいてみるとえぐみは感じません。むしろ、若葉の香りがほのかに漂うさわやかな味でした。

他にも、最中の皮でうこぎアイスを挟んだうこぎ最中も売られていました。うこぎはアイスクリーム用としても作られているのですね。

うこぎを食すことも含めて、うこぎをソフトクリームで味わえるのは米沢だけの地域性のある食べ方だと思います。

山形への観光の際は、是非うこぎをソフトクリームで味わってみてはいかがでしょうか。