ローストビーフは、洋食店では活用頻度が高い食材だが、うどんメニューに取り入れて人気を博しているのが、豊中市の「マルヨシ製麺所」が提供する「肉釜玉うどん」だ。美しくインパクトある姿と、意外性あるマッチングが評判を呼び、利用客吸引の原動力となっている。

熟成ローストビーフを17~19枚使用

昨年オープンした同店のコンセプトは、「女性が利用しやすい店」。うどんの食感にも女性を意識し、コシがありつつ食べやすい適度な硬さを追求。国産小麦2種類をブレンドし、丸1日かけて熟成させ、打ちたて・切りたてを提供している。

同店は、ラーメン店「島田製麺食堂」など多くの人気店の運営やプロデュースを手掛ける島田隆史さんと、「うどん工房悠々」店主の中山優子さんが共同プロデュース。両者のアイデアとテクニックの融合から誕生したのが、「肉釜玉うどん」である。

肉釜玉うどん 1,280円(税抜き) 昼30食、夜15食(土・日曜20食)限定華やかさ満開の看板メニュー ※価格は2019年4月4日現在

島田さん経営の「ガーデンズパスタカフェONS」には、パスタにローストビーフを放射状に盛り付ける、「肉ボナーラ」がある。このメニューを、「うどんでやったらおもしろいのでは」というアドバイスが、開発のきっかけになった。

中央には、ゆでた麺に全卵を絡ませ、さらに卵黄をトッピングした釜玉うどん。外周には、熟成ローストビーフを17~19枚(85~90g)使用。添える“ぶっかけつゆ”は、卵と肉の濃厚な味に考慮して、濃いめに設定している。

インスタを見て来る旅行客も

別々に味わったり、うどんに巻いたりと、食べ方は多様で、途中でレモンを搾れば“味変”もOK。麺を食べ終え、“一口ご飯”(無料)を卵が溶けただしに入れると、絶妙な卵かけご飯になる。調理に手間がかかるため、昼夜数量限定での提供だ。

発売以来話題を呼び、同店の看板商品に。阪急・大阪モノレール蛍池駅前で、伊丹空港への中継地という場所柄、インスタグラムを見て来る旅行客も多い。現在は女性客が7割でファミリーの利用も多く、地域に根ざした店として成長中だ。

夏期限定メニュー たっぷりすだちの冷やかけうどん 980円(税抜き)

「この商品を“蛍池名物”に育てつつ、メニュー提案を積極的に行うことで、お客さまにとって“気になる店”に」と土井喜貴店長。月ごとに季節の素材の限定メニューを考案し、夏期には、「たっぷりすだちの冷やかけうどん」など、魅力的な冷たいうどんも用意。幅広い味に出合う楽しみを提供し、「目標は、100年後も残る店」と意欲を語る。

明るくかわいいインテリアの清潔感ある店内

●店舗情報
「マルヨシ製麺所」
所在地=大阪府豊中市蛍池東町1-5-12
開業=2018年8月
席数=13席
営業時間=11時~16時、17時~22時。第2火曜休
平均客単価=1100円
1日平均集客数=平日100人、週末130人

◇外食レストラン新聞の2019年6月3日号の記事を転載しました。